終わりの見えないロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻。緊迫するウクライナ情勢の情報がニュースやSNSを通じて大人だけでなく子どもも目にすることが多い中、ある影響を危惧する人がいた。
【映像】子どもにどう伝える? 話すときの“5つのポイント”
「今ウクライナで起きていることは、子どもにとっても私たち大人にとっても大変恐ろしいことです。この話題を無視したり、叫んだりすることで子どもたち迷ったり、孤独を感じたり、さらに恐怖を感じるようになり、心の健康にも影響を与える可能性があると私たちは思っています」
そう話すのは、公益社団法人“セーブ・ザ・チルドレン”の赤坂美幸さん。“セーブ・ザ・チルドレン”とは子ども支援活動を行う、民間・非営利の国際組織。現在、約120ヶ国で子ども支援活動を展開している。
ロシアによる軍事侵攻について、子どもに話すときはどう向き合って伝えるべきなのか。“セーブ・ザ・チルドレン”は、ホームページの中で注意点を公開している。
「今回のウクライナ情勢を受けて、不満を抱えているような子どもが周りにいた際にそういった子どもたちと話すときのヒントにしていただきたいと思いまして、5つのポイントを掲載しております」
5つのポイントは、以下の通り。
1.子どもが話したいと思っているときに、時間を作って子どもの話に耳を傾ける。
2.子どもの年齢に合わせて話をする。
3.子どもの気持ちを受け止める。
4.世界中の大人がこの問題を解決するために、懸命に努力していることを伝え、安心を促す。5.現実的な手助けをする。
このポイントを用いて、親と子どもで「この問題について、一緒に出来ることは何か」を考え、子どもなりに対処できるようになってほしいという思いもあるという。また子ども自身、メディアなどの映像が不安を増長させる可能性があるとして注意が必要だと赤坂さんは話す。
「子どもは認知的にも情緒的にも、発達途中段階でありますので、例えばテレビのニュースなどの映像の中の出来事も現在の状況をとらえたりして、より不安や恐怖を増強させることがあります。そのため、子どもが出来事に関連したテレビやニュースの映像を、繰り返し見ないよう注意することが大切」
赤坂さんは、過剰な恐怖や不安を与えないために、大人が子どもに寄り添ってあげることが大切と語る。
「子どもたちがやってきた日常のルーティンを崩すことがないよう、楽しいと思うことは今まで通り楽しいことをしてもいいというメッセージを伝えながら、もし子どもが助けたいと思った時は、そういった気持ちは自然なものでありますので子どもの気持ちを応援してほしいと思っております」
小学校・中学校・高校などを回る機会の多い、ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーターの臨床心理士で明星大学心理学部准教授・藤井靖氏は、最近の子どもの様子について明かした。
「ある小学校の休み時間中に遊んでいた子どもが、同じく遊んでいた子どもに、ルールを破ったのかわからないですが『お前、ロシアかよ』と言っていました。また他のある子は、おそらくすべて理解しているわけではないでしょうが『ウクライナにも問題があるらしいよ』などと話していた。それくらい子どもたちの中でも、ニュースを見聞きして話題となっているのは事実です」
子どもたちでも、認知しているウクライナ侵攻。大人が子どもから“戦争の話”を聞く姿勢について藤井氏は「ニュース番組を見ながらさりげなく聞いてあげるのもいいと思います。『うちの子はきっとこれくらいの理解度だろう』などという先入観を持たず聞くことが大事です」と述べた。
また、子どもの年齢に応じた“戦争の説明”について「私の印象だと、小学校低学年~3年生くらいまでの年齢の子どもたちというのは、個人差はありますが、まだ正確に事態(戦争)を把握できない傾向が強いと思います。そういう子に無理やり現実を教える必要は無いと思いますが、『命の問題』『大変なこと』など1つだけメッセージを伝えて、そのことだけでも理解してもらえれば十分だと思います」と話した。
一方、藤井氏は「中には『日本でも戦争が起こったらどうしよう』と心配して不安になる子もいます」とし、「そういう子どもには保護者を中心に、『いざとなれば大人が献身して守るよ』ということを伝え、現状での安心感を与えてあげることも大事です」と明かしている。
(『ABEMAヒルズ』より)
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