分断作戦、実らず…佐藤天彦九段、敵戦力を“強奪指名”も抽選負け「おもしろいかなと」/将棋・ABEMAトーナメント
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 苦手な相手なら、味方にしちゃえ。「貴族」の愛称で親しまれる佐藤天彦九段(34)が、無邪気な“強奪指名”に挑み、ファンを楽しませた。プロ将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のドラフト会議が4月2日に放送され、佐藤九段は1巡目に、過去2大会続けてチーム永瀬のメンバーとして戦った増田康宏六段(24)を指名。永瀬拓矢王座(29)と重複し、抽選となった。「私のチームは2回とも永瀬さんのチームに引導を渡されていた」と、戦力を削りに行ったものの、作戦は実らず抽選負け。ただ、これまで重複を気にしたリーダー棋士が単独指名を目指してきた中、あえてぶつける強硬策が大きな盛り上がりを生んだ。

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 団体戦になった第3回大会から恒例になっているドラフト会議。過去2回は、リーダー棋士の指名があまりかぶることもなく、大半がすんなり単独指名で終わっていた。ところが今回は、1巡目で森内俊之九段(51)に3票が入るなど、波乱の展開。そしてもう一つの波乱が、佐藤九段による増田六段の指名だった。

 第3回大会、第4回大会と佐藤九段の率いたチームは、チーム永瀬に敗れた。特に手強かったのが増田六段。佐藤九段自身、何度も戦い、苦しめられた若手だ。「永瀬さんのチームには2回とも増田さんが主力メンバーとしていらっしゃった。私自身、数多くフィッシャールールで対戦もしましたし、強さもわかっているので、純粋に取りたいと思いました」と、チーム永瀬の弱体化だけでなく、シンプルに1巡目で取りたいメンバー候補者に増田六段がいたと説明した。「やられている永瀬さんのチームから主力メンバーを剥がしにいくというのも、おもしろいかなと思いました。ドラフトも今回で3回目ですが、みんな慣れてきたところもありました。1、2回目は相談しなくてもみんな読み合って、この人はこの人を取るだろうと気を使っていましたが、今回は積極的に行ってもいいかなと」。これまでなかった「奪い合い」という要素を取り込むあたり、近年になって振り飛車を指し始めるほどの柔軟性を持つ佐藤九段なら、朝飯前だ。

 くじを外した1巡目の指名には昨年、予選から勝ち上がり、自力で大会出場を果たした梶浦宏孝七段(26)の名を書いた。「非常に真面目に将棋に取り組まれている印象で、ストイックな雰囲気を感じます。将棋の内容からも、勉強されていることがわかりますし、公式戦でも結果を出されている。私自身、公式戦で当たって負かされたこともありますし、フィッシャールールでも師弟トーナメントで戦って、その強さを感じました」と、棋力と姿勢、両方を高く評価した。

 また2巡目の指名も重複となったが、佐々木大地六段(26)を手に入れた。振り返れば2年前の第3回大会でも指名、その時は抽選で敗れたため、2年越しに指名ができた。「常にプロ間で高く評価をされている棋士で、1巡目で指名されても全く不思議ではなかったです。かぶる可能性もあったんですが、ここも攻めの姿勢で行きました」と、強く前に出たことが成功に結びついた。

 今回のドラフト会議を、最も満喫したと言ってもよさそうな佐藤九段。大会では、まず予選突破を目標とし、それをクリアしたらさらに先へ。この大会では「熱戦メーカー」とも呼ばれているだけに、盤上では後輩のチームメイト2人に見せつけるように、もっと熱く攻め立てる。

◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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