頭脳と頭脳がぶつかり合う将棋の対局において、一服の清涼剤のような存在となっているのが「将棋めし」と「おやつ」。特にタイトルがかかる番勝負では、各地を転戦する中で、地元の名産品などが棋士に振る舞われ、話題になることも多い。そんな中、各対局の中継番組も増え、食事やおやつの食レポをする棋士・女流棋士も増えてきた。4月6日から行われている名人戦七番勝負の第1局、1日目に渡辺明名人(棋王、37)がショートケーキ、挑戦者の斎藤慎太郎八段(28)がチーズケーキを午前のおやつに注文したが、ABEMAの中継でも、このおやつの食レポが行われた。
番組に登場したのは成長著しい若手ホープの梶浦宏孝七段(26)と、タイトル戦の出場経験もある山根ことみ女流二段(24)の2人。穏やかな性格の両者ということもあってか、午前中のおやつに関する食レポもほんわかした雰囲気のまま始まった。
「先手」は梶浦七段。「まずは私が」とショートケーキをじっくり眺めると、「下にもいちごがぎっしり入っています。どうやって食べようかな。いちごからいただきますね」と、まずはこぼれるばかりのいちごを食べる「初手いちご」を決断。山根女流二段も「ふふふ。棋風が出ますね。いい笑顔をいただきました」と微笑んでいた。
梶浦七段は「いちごが瑞々しくて、春にちょうどいいですね」と味わうと、続けて「クリームはふわっふわです。ずっと食べちゃいますね。結構クリームは濃厚で、甘いものが好きな人にはぜひ食べてほしいです。ケーキ自体はシンプルな感じです」と淀みなく語った。さらに締めには用意していたかのように「将棋に例えると、シンプルな王道なので、相矢倉です」とコメントした。ちょうど渡辺名人と斎藤八段の一局が相矢倉の出だしになっていたこともあり、山根女流二段も「本日の戦型ですかね。すごい、高度な食レポを…」と驚いていた。
続いて後手の山根女流二段。「私は結構チーズケーキが好きで、いろいろなものを食べてきました」と自信を見せていたが、「私は先から行くタイプなんです」と、三角形のチーズケーキの先端をフォークで切ろうとしたものの、いきなり悪戦苦闘。「初手から手こずってます」と笑いだしてしまった。なんとか口まで運ぶと「んー!ん、ん、ん、おいしいです。チーズの深い味わいが感じられます。香りがある…チーズの香り…」と、何かうまく表現しようと思うものの、なかなかうまい表現が出てこなかったのか、笑顔ながらも悩ましい顔に。「梶浦先生が戦型に例えられていたので、私も考えているんですけど」と明かすと、なんとか絞り出したのは「うーん、このチーズケーキは四間飛車ですかね。ふふふ。ノーマル四間飛車で、初心者の方にも指しこなせる」というものだった。
このやりとりを聞いていた視聴者からは「初手いちご」「相矢倉いただきましたー」「チーズケーキの表現意外とムズイ」「ノマ四間飛車チーズケーキ」と様々な感想が寄せられた。なお、うまく食リポをこなした梶浦七段、実は将棋好きで番組司会も務めるお笑いコンビ・サバンナの高橋茂雄にアドバイスをもらったとのことで「僕が食レポ苦手なので、どうすればいいのかとうかがったら『とりあえず真っ先においしいと言う』『将棋の棋士なので将棋に例える』と言っていました」と告白。今後は、この食べ物を将棋に例える方法が、新たな定跡として定着するかもしれない?
(ABEMA/将棋チャンネルより)





