「障がいを持った方が間伐材を使用して割り箸を作り、教育を必要としている場所に寄付をする」
こう話すのは、現役の女子大生社長・難波遥さん(22)。彼女が代表を務める株式会社「Hands UP」では、木の成長のため伐採される国産の間伐材を使い、障がいを持つ人たちが割り箸を製作。それを子どもたちに寄付し、SDGs(持続可能な開発目標)の教育につなげる「はしわたしプロジェクト」という活動を行っている。
「箸袋の後ろには、(SDGsの)それぞれの目標を学ぶことができる絵本の読み取りQRコードがあるので、子どもがSDGsに触れるきっかけを作ることができる仕組みになっています」
森林保全、障がい者雇用、SDGs教育。1膳の割り箸を通じて3つのことが達成できる「はしわたしプロジェクト」。そのきっかけとなったのは、難波さんが大学時代に留学した際、目の当たりにした世界の現実だった 。
「フィリピン留学に大学1年生の春に行ったんですけど、その時に子どもに物乞いをされたのがきっかけで、社会に目を向けるようになりました。『世界にはこういう人がいるんだ』とか、それが原点です」
そこから、日本の社会問題を解決すべく会社を設立。目を付けたのが衰退しつつある林業、そして低賃金が問題視されてきた障がい者雇用だった。
「この木を使って木に第二の人生を与え、箸として利用することによって、日本の林業の推進だったり、間伐材のイメージの払拭を図っていきたいです。また、(障がいのある人が)半年間働いても数千円、数万円しかもらえない現状があったりするので、しっかりと障がいを持った方々にも賃金が支払われていくような形を取りたいと思ってます」
作られた箸は個人や企業が購入し、様々な施設へと“寄付”される仕組みになっている。しかし、一体なぜ“寄付”なのだろうか。そのきっかけは何気なくテレビを見ていた時に、献血に訪れた若者の言葉だという。
「(献血に訪れた若者が)『なんで来たんですか?』という質問に、『暇だから来ました』と答えたんです。暇だから献血へ行くのに、今の子たちは暇だから寄付はしないんです。その違いは何かと思ったときに、寄付はお金がメインで、そのお金は何に使われるのかが不明確。でも、血は絶対困っている人に使われることが分かっている。そこで、“何に使われるのか”を明確にする必要があると気づきました」
海外のチャリティー機関『CAF』の調査によると、日本は寄付といった“人助け”への関心が114カ国中最下位だった。難波さんは、お金の使い道を“お箸の寄付”という形に変えることで、より多くの人に寄付を行ってほしいという思いがある。そして、割り箸を通じて「善意の輪を広げる架け橋に」「日本に寄付文化を少しでも根付かせたい」と、これからの目標を語った。
「(日本は)人のために何かをしたい気持ちがないのではなく、それを吐き出せる“受け皿”がない状態だと思っていて、人のために何かしたいという思いは絶対にみんな持っているはずです。それをいつでも吐き出せて、そして楽しくみんなで目標を持ってやっていけるような環境、場所作りを私たちが作っていければと思います」
日本に寄付文化を根付かせるにはどうしたらいいのだろうか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』にコメンテーターとして出演した、社会起業家の牧浦士雅氏は次のように見解を述べた。
「統計を見ても日本の年間寄付総額は約1兆円。これは震災で増えたわけだが、アメリカに目を向けると年間約30兆円ある。もちろん人口は3倍しか違わないのに、総額でいうと30倍も違う。そして先程、“受け皿”という話があったが、それもやはり寄付することで、メリットとして国が税金を安くしてくれる。寄附金控除を受けられるんだけども、対象となっている受け皿の団体が日本では数万単位で少ない。一方、アメリカは130〜140万あるので、受け皿を増やしていく取り組みは非常に重要だと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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