国立がん研究センターは「がん患者の終末期の療養生活の実態」について、遺族を対象に行った全国調査の結果を発表した。
【映像】「最期どうしたい?」荒川真衣と“看取り”について考える
まず、「死亡前1カ月間の療養生活の質」では、最期に「痛みが少なく過ごせた」と回答した割合はPCU(緩和ケア病棟)が一番高く、「体の苦痛が少なく過ごせた」のは施設が一番高かった。さらに、「望んだ場所で過ごせた」のは自宅が突き出して高かった。
続いて、「家族の介護負担感」については、負担が「全体的に大きかった」と回答した割合が高かったのは施設で、「自分にできるだけの事は出来た」との回答が最も高かったのは自宅だった。
こうした調査結果が出ている中、“緩和ケア”に対する社会の意識は高くなってきているのだろうか。終末期医療の現場で働く現役看護師でタレントの荒川真衣に話を聞いた。
「がん患者の3人に1人は亡くなっているという結果があるように、がんで長く療養生活を送っている方もすごく多い。その中で緩和ケアという分野は、痛みや苦痛をなくし、本人が満足・安心できる生活をサポートすることがメインとなっている。今は病院や施設、自宅など、緩和ケアの望むべき形が人それぞれで、いろんな選択肢が増えてきているので、意識は高くなっていると感じる」
一方で、最後の1カ月間の療養生活では「痛みが少なく過ごせた」との回答が概ね半数。逆に言えば、残り半数は痛みを感じていることになるが、現場では患者の痛みにどのように対応しているのか。
「現場で見ていても、がんで痛みを感じている方は多い。実際に、痛みと闘いながら最期の1カ月間を迎えるという方はいて、痛みを緩和するために現場では医療用の麻薬を使って鎮静している。その痛みを軽減させるためには医療者とご家族との連携が重要になってくる。また、人によって痛みが変わってくるので薬の調節も手探りで、突発的な痛みとかに対してうまく調節していくことも私たちの課題」
終末期医療の現場でこれまで多くの患者をみてきた荒川は「患者の要望を叶えるためにもご家族や医療者とのコミュニケーションは大事」だと話す。
「患者さんの要望はできるだけ叶えてあげたい。その中でも痛みを無くすことで、少し満足度は上がって、(患者さんは)自分がやりたいことができるようになる。そういうサポートをするためには家族だったり、医療者とのコミュニケーションがすごく大事になってくる。また、ご家族の方も急に病気になってわからないことが多いと思うので、不安なことや悩んでいること、どのようにしていきたいかなどを医療者と話し合って、望み通りの最期を迎えられるようにしてほしい」
また、病気が進行すると患者が意思表示をすることが難しくなることもある。そうなる前にも「健康な状態でも今後について話していくべきだと思う」と、荒川は現場の話を例に訴えた。
「現場の先輩は40〜50代で健康なんだけど、自分の最期について『どういったケアをしてほしい』『管は入れてほしくない』『極力安静に安楽で居たいからそのままの形を望んでいる』というのを自分の子どもに話しているそう。でも、それは看護師で現場をリアルに見ているからできることで、実際に病気と接点がなく過ごしている方々はそのリアルなところがわからないから家族で話をするきっかけがない。なので、健康な状態でも、意思疎通できるうちに『今後どうしていきたいのか』という話をどんどんしていくべきかなと思う」
終活という言葉が馴染んできたように、最期の緩和ケアや終末期にどうするか。緩和ケアの充実に加え、患者自身がどこで過ごしたいかなどを早い段階から家族や医療者と話をしておくことが大切だ。(『ABEMAヒルズ』より)
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