将棋の叡王戦五番勝負第2局は5月15日、愛知県名古屋市の「名古屋東急ホテル」で行われ、藤井聡太叡王(竜王、王位、王将、棋聖、19)が出口若武六段(27)に勝利し、叡王初防衛に王手をかけた。第2局は午前9時に開始し、午後4時36分に千日手が成立。タイトル戦では自身初の千日手指し直し局を制し、地元・愛知でタイトル戦の連勝数を「12」に伸ばす大きな1勝を飾った。
【動画】叡王戦五番勝負 第二局 藤井聡太叡王 対 出口若武六段 対局開始の瞬間
急転直下の千日手成立だった。千日手局は出口六段の先手番で、第1局と同じく戦型は「相掛かり」となった。形勢均衡が保たれたまま中盤戦が進み、わずかに藤井叡王がペースをつかみかけているとみられていた。しかし、出口六段が藤井叡王の馬を追ったところで、叡王は馬を引いて逃げる手を選択。局後のインタビューでは両者ともに「千日手は仕方がないと思っていた」と話した通り、同じ手順が早いスピードで繰り返され、藤井叡王はタイトル戦31局目にして初めての千日手となった。
未知の領域も冷静沈着を貫いた。先後を入れ替えて30分後の午後5時6分から開始された指し直し局は藤井叡王の先手番で、ここでも戦型は「相掛かり」に。ABEMAで解説を務めた中村修九段(59)も「“ダブルヘッダー”の指し直し局は激しくなりましたね」とぶつかり合いに圧倒されるほどの激戦となった。中盤に歩頭金を打ったところで、形勢は藤井叡王側へ。猛攻から一気にリードを拡大し、最後には王手竜取りをかけて勝利を収めた。
終局後、藤井叡王は「途中から踏み込んでいったが、リスクの大きい指し方で判断がつかないところが多かった。ずっと形勢がどうなるか分からないまま指していた」とコメント。叡王初防衛がかかる第3局に向けて「内容をしっかり振り返って次につなげられたらと思います」と話した。一方、敗れた出口六段は「(角の打ち込みを)見落としていた。うっかりしてしまい悪い状況が続いてしまった。もう少し粘る順もあったと思う」とがっくり肩を落とした。後が無くなったが、「もうちょっと良い内容にできるように頑張っていきたい」と自身を奮い立たせていた。
この結果でタイトル戦の連勝数は「12」と継続中。第3局以降で勝利すれば、タイトル戦8回出場ですべてで獲得と防衛を飾ることになる。さらに年度内の5冠防衛、現在予選進行中の棋王戦に挑戦し奪取した場合、最多で六冠も見えてくる。藤井叡王の防衛か、後が無くなった出口六段が勝利をつかめるか。注目の第3局は5月24日に千葉県柏市の「柏の葉カンファレンスセンター」で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)