内に秘めた闘志は誰よりも熱い。将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Bリーグ第3試合、チーム斎藤とチーム菅井の対戦が5月21日に放送され、リーダー対決となった第6局で斎藤慎太郎八段(29)と菅井竜也八段(30)が激突した。互いに自陣に角を打ち合う展開から斎藤八段が敵将を圧倒。クールな外見からは想像ができない闘志を見せつけ、ファンの心を強く掴んだ。
関西所属棋士を代表するトップ棋士のリーダー対決となった。ここまでのスコアはチーム斎藤の3勝、チーム菅井の2勝。この一番が今後の展開を大きく左右するとあり必然の組み合わせだった。先手番は斎藤八段。「玉が薄い段階で仕掛けられないように警戒しつつ、固い駒組を目指したい」と話し、戦型は角交換型振り飛車となった。比較的穏やかな立ち上がりから斎藤八段がしっかり読みを入れ、▲1六角と思い切った一手。菅井八段も△4三角と互いに自陣に角を打ち合う展開となった。斎藤八段の事前の構想通りに玉を固め、木村八段も「理想とするペースですね」とうなずいた。飛車、角を自在に操り、解説の大平武洋六段(45)も「攻めには困らない。いろいろやりたい手がありますね」の言葉通りにリードを拡大。迷わず指し進めて振り飛車党の雄を圧倒した。
菅井八段に粘る隙も与えず、受け無しに追い込み107手で勝利。快勝譜に「良い将棋をぶつけられたのかなと思うので良かったです」と大きくうなずいた。チームは違えど、予選第1試合チーム糸谷の振り飛車戦術に苦しんだとあり、第一人者を破ったことはチームを大いに活気づけた。言葉や表情でのチーム運営はもちろん、何よりも結果で示した力強い一勝。視聴者も「斎藤リーダー、本当に素敵です」「これはツノ生えちゃう」「存在感ハンパない」と強く心を掴まれた様子だった。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)