対局では寡黙に指し続ける将棋の世界だが、一度盤を離れれば、そのトークでファンを大笑いさせる棋士がいる。その中の一人がベテラン福崎文吾九段(62)だ。タイトル2期の実力者で、順位戦においては、あの藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)も上回るわずか3期でB級1組まで昇級したこともある。これが盤外では、コテコテの関西弁でジョークや知られざるエピソードを連発する爆笑王でもある。5月28日に行われた名人戦七番勝負第5局の1日目には、中継したABEMAで午前のおやつをリポートしたが、福崎九段とコンビを組んだのが、本田小百合女流三段(43)。「福崎トーク」に対して一歩も引かず切り返し続けるやり取りにファンから「このコンビ最高やん」「面白いなあw」と、笑いが起き続けた。
2人がリポートしたのは渡辺明名人(棋王、38)と斎藤慎太郎八段(29)が注文したフルーツ盛り合わせとピオーネジュース。特徴あるケーキ、歴史ある伝統の和菓子、というわけでもなく、果物本来のおいしさしか伝える要素がなく、リポートとしては難易度が高いと思われたが、この両者の“対決”にはまるで関係なかった。先手は福崎九段だ。
福崎九段 (添えられていた)花も食べられるかな。
本田女流三段 どうぞ召し上がってみてください。
福崎九段 悪ノリしてくるな。食べられないって言ってほしかったのに(笑)。
本田女流三段 先生、食べられますよ(笑)。
軽くボケたはずの福崎九段だが、いきなり拾われて序盤戦術を狂わされた格好だ。続いて、先に試食することになったが、ここでも丁々発止だ。
福崎九段 この歳で食レポするとは思わなかった。どれから食べるか当ててください。
本田女流三段 びわ。
福崎九段 違うって(笑)。当てずっぽうにもほどがある。はじめはいちごから行くでしょ。3個もあるねんから。
本田女流三段 そうですか?キウイも3個ありますけど。
福崎九段 理屈っぽいな(笑)、意外と。ああ言えばこう言うみたいな。だからプロ棋士になるんだろうけど。
大半の女流棋士は、福崎九段の“口撃”の前に早々に降参し、ひたすら笑い続けるというパターンになるが、本田女流三段はそれだけでは終わらない。ファンもこの予想外の展開に「ほんさゆさん応援」「面白いなあw」「攻めるほんさゆw」と一気に応援コメントが集まった。
福崎九段 次、何食べるでしょう。
本田女流三段 びわ。
福崎九段 そこまで言うなら食べるわ(笑)。
よもやの「びわ推し」という妙手も繰り出したことで、完全に形勢は本田女流三段の有利に傾いた。そして今度は本田女流三段が食べる番だ。
本田女流三段 何を食べるでしょうか。
福崎九段 うーん、わかるわけないやろ。メロンじゃないかな。
本田女流三段 ブブー。オレンジでしたー(笑)。
福崎九段 言い方が意地悪ばあさんみたいになってるな。
ここでもまた福崎調を上回る本田調で圧倒するトークで、ファンからは「かーわーいーいーw」「すげえ面白いやり取りだな」「オレンジでしたあーw」と笑いが続いた。
福崎九段 さあ、この中で僕は何が一番好きでしょうか。また、びわでしょ。
本田女流三段 お花。
福崎九段 もうやめさせてもらうわ(笑)。乗ってきてくれて、うれしいけどな。
本田女流三段 今日は福崎先生とお会いできるのを楽しみにしてきました。
福崎九段 どの口が言うてんのかな。
本田女流三段 この口です(笑)。
このコンビ、トークの応酬はまだまだ見たい、聞きたいというファンが続出していた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)