“桂馬の貴公子”三枚堂達也七段(28)が二つ名通りに桂馬を大活躍させ、チーム豊島のリーダー・豊島将之九段(32)から金星を奪った。将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Cリーグ第1試合、チーム広瀬とチーム豊島の対戦が5月28日に放送された。ファーストオーダーでの大将の登場にざわつくチーム広瀬の中で一人、三枚堂七段は動じず。軽快で積極的な将棋で敵将を圧倒し、ファンから歓喜の声が上がった。
三枚堂七段は内藤國雄九段門下で、2013年10月に四段プロデビュー。居飛車党で角換わりを得意とし、鋭い攻め将棋が魅力。桂馬使いの妙手として“桂馬の貴公子”とも呼ばれている。2017年の上州YAMADAチャレンジ杯で棋戦初優勝。竜王戦の組別ランキング戦でも毎年好成績を残して昇級と昇段を重ねるなど、活躍目覚ましい若手棋士の一人だ。
初戦にはまさかの敵将・豊島九段が登場。広瀬章人八段(35)も思わず「なんと!考えてなかったな…」と意表を突かれた様子だった。しかし、先鋒を任された三枚堂八段は、2021年4月30日の公式戦初手合いでも勝利を飾っており「悪いイメージはない。プレッシャーはあるけど自分らしい勢いのある将棋を」と話し軽やかに対局場に向かった。
先手番となった三枚堂七段は相掛かりを志向。序盤から桂馬を活用して積極的な姿勢を示した。対する豊島九段は王者の風格。攻めと守りをつなぐ接点の駒・銀を前進させて、負けじと強気な攻め将棋を披露した。中盤で三枚堂七段がペースを握ると、桂馬をピョンピョン跳ねて盤上を支配していく。解説を務めた飯塚祐紀七段(53)を「躊躇がないですね。桂馬を跳ねる手って怖いんですよ、戻ることができませんから。そういうことを考えていると“貴公子”にはなれないんですね」と圧倒させる間に、▲6五桂、▲5六桂、▲4五桂と中央地点に3枚の桂馬を乱れ打ち、“地獄桂”を築いた。飛車と桂馬を連結させた軽快で積極的な指し回しに、豊島九段も投了やむなし。73手で三枚堂七段が快勝した。
チームにとっても自身にとっても幸先の良いスタートを切った三枚堂七段は「うまく指せたと思う。たくさん桂馬を使うことができたので内容には満足しています」と満足気な様子。控室の広瀬八段、青島未来六段(27)も「すばらしい!これ以上ないスタートでは。相手のリーダーを討ち取ったのは大きい」と大拍手を送った。鮮やかな勝利にファンも「桂馬さまさま!!」「桂枚堂先生ーー!!」「かっこよすぎ」と大興奮していた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)