羽生善治九段「さらに前に」前人未踏の公式戦1500勝達成の喜び語る
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  将棋羽生善治九段(51)が6月16日、順位戦B級1組の開幕戦で山崎隆之八段(41)に勝利し、将棋界初となる公式戦通算1500勝の快挙を達成した。七冠独占、永世七冠を含むタイトル通算99期など数々の記録に新たな金字塔を打ち立てたレジェンドは、「大きな節目を迎えることができて嬉しい。さらに前に進んでいかなければいけないなという思いも強くした」と喜びを語った。羽生九段の成績は2156局で1500勝654敗(タイトル戦の持将棋2、未放映の対局を含む)。会見の内容は以下の通り。

【動画】羽生善治九段、通算1500勝達成の瞬間

――1500勝達成の今の心境を教えてください。

 棋士もずいぶん長くやってきた中で、公式戦1500勝目を迎えることができてとても嬉しく思っています。
今日は順位戦の開幕戦ということもあって、記録ということよりも目の前の一局に集中してやっていこうという気持ちでいました。結果として大きな節目を迎えることができて嬉しく思っていますし、これを機にさらに前に進んでいかなければいけないなという思いも強くしたところです。

――中学生のプロ入りから36年5か月での1500勝到達となりました。

 将棋の世界は勤続表彰が2回ありまして、1回目は25年で2回目は40年なんですが、だんだんそれが近づいてきているということもあります。大変ありがたいことに、棋士になってからたくさんの棋戦、トーナメントで対局することができた環境にも非常に恵まれているなということも思っています。最近は通算成績は気にしないで指していましたが、今日大きな節目を迎えることができて良かったなと思うところです。

――思い出の一局を挙げるとしたら何ですか?

 強いてあげるならデビュー戦(宮田利男六段戦、肩書は当時)ですね。ずいぶん昔の話となりますが、私は記録係などもとっていなかったので、プロの公式戦がどういう風に行われているかという勝手もよくわかっていなかったですし、そこが最初の出発点というか原点でもありますので一番印象に残っています。

――今後の目標について教えてください。

 1500勝を達成したからといって、これですべての目標が終わるということでもないですし、将棋そのものは本当に難しいもので進歩の余地もあるものだと思っています。ずいぶん長くはやってきましたが、これから先も自分なりに少しでも進歩して上達していけたらいいなと思っています。

――現在タイトル獲得数が99期ですが、今後100期獲得への思いを教えてください。

 タイトル戦に関しては、まず挑戦者にならないと始まらない訳ですが、最近はその近いところまでも勝ち進めていないことが多いので、まずは自分なりにしっかり力を付けて、そういう場に出られるくらいの実力、棋力を充実させることが大事なのかなと思っています。今の時点では、現実味を帯びていないのかなというのが率直な感想です。

――今後のB級1組での戦い方について教えてください。

 B級1組のメンバーも本当に強い人ばかりなので、一局一局が勝負で厳しい戦いになると思っています。自分なりにコンディションを整えて、充実させて残りの11局も向かって行きたいなと思っています。

――横歩取りや振り飛車なども採用されており、新しい将棋の可能性を探求されているように見えます。現在の将棋観を教えてください。

 最近の将棋は非常に間口が広く、序盤もいろいろな可能性があって自分なりに試行錯誤しているところです。それを繰り返していく中で新たなスタイルを確立できればいいなと思っています。

――新たな試行錯誤について、具体的に取り組まれていることはありますか?

 将棋はこれまでにかなりの数の実戦や分析が行われてきましたし自分自身でも2000局以上指してきましたが、まだ知らない形というか、自分なりに分析・研究が進んでいないものが結構あるんだなということを最近思いました。それを自分なりにいろいろトライしているというところです。

――若い世代の棋士の活躍について、どのように見られていますか?

 藤井(聡太竜王)さんを代表として若い世代の人の活躍が著しいですが、例えば昨日行われた棋聖戦第2局も、ものすごく高度な内容でプロから見ても見ごたえのある内容でした。私自身も勉強になる、参考になることがたくさんあるというのが実情なのでそういう人たちの活躍は素直にすごいなと思っています。

――SNSを始めたきっかけを教えてください。

 ABEMAトーナメントをきっかけに少しやる機会があったので、自分なりにやってみるのもいいかなと思って始めました。こちらも試行錯誤です。

――将棋の面白さについて教えてください。

 無限ではないですが、いろんな可能性があるところです。わからないこともありますが部分的にわかるところもたまにある、というのがおもしろいところだと思います。解明するのは難しいですが、自分なりに「ここはわかった」や「発見があった」ということが時々ある、というのが一番おもしろいところだなと思います。

――体力作りの面で心掛けていることがあれば教えてください。

 特別何か変わったことはしていませんが、極力自然体で過ごせたらいいなと思っています。無理して頑張ってしまうとそれを長い期間続けていくのは難しいので、自分が普通にできるというところで体調やコンディションを整えていくということは心掛けています。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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