将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Dリーグ第1試合、チーム天彦とチーム康光の対戦が6月18日に放送され、チーム天彦がフルセットの末に通算成績5-4で勝利。予選突破に王手をかけた。リーダーの佐藤天彦九段(34)が個人で3戦全勝とけん引。メンバーの佐々木大地七段(27)、梶浦宏孝七段(26)もそれぞれ1勝ずつ成果を挙げるなど結束力が光った。
前回大会はそれぞれが別のチームで出場し、全員が予選敗退。チーム天彦は「まずは予選突破」を今期の目標に掲げて大会に臨んだ。第1局、第2局では梶浦七段、佐々木七段が出陣したが、タイトル6期を誇る強豪・郷田真隆九段(51)の高い壁に阻まれ連敗スタート。いきなり訪れたピンチの場面で、リーダーの佐藤天九段が立ち上がった。第3局はチーム康光の先崎学九段(51)との一戦。入玉をめぐる攻防を制し、157手でまずは1勝を挙げた。
続く第4局では佐々木七段が敵将の佐藤康光九段(52)と激突。急戦矢倉の出だしから中盤は角の打ち合いとなり、最後は佐々木七段の気持ちの良い攻めが刺さって快勝となった。第5局を落として迎えた第6局。再び佐藤天九段VS先崎九段のカードとなったが、ここでも勝利してイーブンに。「リーダーに楽をさせてほしい」と笑ったが、窮地にを救うのはいつもリーダーだった。その言葉に奮起したように、第7局では互いに初勝利をかけて梶浦七段と先崎九段が激突。梶浦七段が中盤での△7六歩と強気の一手など、厚みを活かした攻めで勝ち切った。
一進一退の星の取り合いから戦いはフルセットへ。最終第9局はリーダー対決の佐藤康九段VS佐藤天九段の“佐藤”姓の一戦となった。佐藤天九段が「大変なミッション」と話す絶対に譲れない大一番。振り駒の結果、先手は佐藤康九段となり、じっくりとした矢倉の戦いを選んだ。ともに順位戦A級、互いに名人経験者のトップ中のトップ同士の対決。▲1五歩から▲2六銀と前進させる手にチーム康光の控室からは「おおー!行った!これが丸太か!」と歓声があがり、わずかに佐藤康九段がペースを握った。しかし、佐藤天九段がここで折れる訳もない。上着を脱いで腕まくり。入玉を目指して一気に攻勢へと転じた。最後は指をしならせるように△8八龍とたたきつけて詰まし上げ、150手で勝利を飾った。
対局中の鋭い勝負姿勢から一転、チームメイトの元に戻った佐藤天九段には柔らかい笑みが戻った。梶浦七段は「リーダーに助けられた」、佐々木七段は佐々木七段「常に苦しい天彦先生がいるという安心感が強かった」と厚い信頼感を寄せた。佐藤天九段は「みんなが1勝以上した結果。先輩方の手厚さも身をもって知ったことと思うので貴重な経験になったと思う。一緒に上を目指して行きましょう」と予選突破を期した。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)