コロナ禍で医療機関も盲導犬の“同伴拒否”… 視覚障害者の社会的な障壁をなくすには 専門家「一人の患者として接して」
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 盲導犬や介助犬、これらを「身体障害者補助犬」と呼ぶが、障がいを持つ人にとっては生活を支えてくれる大切なパートナーだ。

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 ただ、補助犬の同伴が理由で、施設の利用を断られるケースがあることが以前から指摘されていると、財団法人日本盲導犬協会 広報・コミュニケーション部の黒田匠さんは話す。

「盲導犬は目が見えない・見えにくい人が安全に外を歩けるようにサポートする犬です。道案内をしているわけではなくて、安全に歩くために必要な情報を伝えています。盲導犬がいることによって、自分のタイミングで行きたい時に、行きたい場所へ出かけることができるというのは、一つ大きな存在なのではないかなと思います」

 目や耳、手足に障がいを持つ人の生活を支えるための特別な訓練を受けた犬を「身体障害者補助犬」といい、盲導犬もこの一つで、目の不自由な人の歩行をサポートしている。ただ、多くの盲導犬ユーザーが直面するのが「盲導犬の同伴拒否」だ。

 「身体障害者補助犬法」では、公共の施設や交通機関だけでなく、飲食店や病院など不特定多数の人が利用する民間施設でも、盲導犬を始めとする補助犬の同伴が認められている。

 2002年の法律成立から20年経った現在でも、補助犬の同伴に対して十分な理解が得られているとは言い難く、日本盲導犬協会が行った2021年度の調査によると、盲導犬ユーザー215人中75人が施設での「受け入れ拒否」にあったと回答。さらにこのコロナ禍によって懸念されていることがあるという。

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「医療機関ですね。健康や命に直結する医療機関、医療現場での拒否というのは増加しておりまして、やはり(盲導犬)ユーザーにとっても大きな不安につながっているのではないかなと思います。このコロナ禍での衛生意識の高まりというのがさらに医療機関での受け入れということに関しての、大きな社会的な障壁になってきているのではないかなと感じられます」

 前年度よりも明らかに増加した医療機関での受け入れ拒否に、黒田さんは危機感を抱きながらも、衛生面への懸念を抱える医療機関側と少しでも相互理解が進むよう、地道に活動することが大切だとしている。

 目が不自由な人にとって盲導犬は生活に欠かすことができない重要なパートナー。そのパートナーと一緒に障がい者が当たり前に社会参加できるようになるにはどうすればいいのだろうか。

「まだまだこの身体障害者補助犬法をご存じない、法律の周知が進んでいないというのは一つの課題だと感じております。やはりこの法律の本質は犬を受け入れるということではなくて、一人の視覚障害者を受け入れるということだと思っていますので、やっぱり正しい理解が進むという事が大切だと思います。『盲導犬が実際にどういった役割をしているのか』『盲導犬と生活をされている目の見えない・見えにくい方にどういった配慮やサポートが必要なのか』など、そういったことについて、まずは皆さんもぜひ知っていただく、知っていただけたらなと思っております」

 盲導犬ユーザーが感じている孤立感や不安。それは、周囲の人達のちょっとしたコミュニケーションの取り方で和らげることもできるという。

「私たちが暮らしているこの社会にはさまざまな配慮が必要な方が共に生活しておりますので、盲導犬ユーザーもその一人でございますし、医療機関なのであれば、一人の患者さんとして接していただきたいと感じております。何か特別な存在ということではなくて、同じように生活をしている、一人の市民として見守っていただき、必要に応じてお声掛けをしていただければなと思っています」

(『ABEMAヒルズ』より)

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