将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Dリーグ第3試合、チーム稲葉とチーム康光の対戦が7月2日に放送された。ABEMAトーナメント初出場の出口若武六段(27)が、個人3戦目して待望の初勝利。チームの予選突破を決める大一番で百戦錬磨のベテラン棋士を破り、笑顔がはじけた。
チーム稲葉4連勝で、勝てば予選突破の大勝負は出口六段に任された。対するはチーム康光の郷田真隆九段(51)。タイトル6期のトップ棋士で、今期の予選Dリーグ第1試合では個人3連勝を飾る大活躍を見せた。両者は初手合い。郷田九段は「出口さんは居飛車の正統派。よく研究が行き届いているイメージがある」、出口六段は「郷田先生は本筋派で格調が高い。鋭くて本当にトップ棋士の先生。精一杯ぶつかっていきたい」と互いの印象を語った。
先手番の郷田九段の矢倉の出だしから、一気に駒がぶつかる激しい展開に。出口六段が△6五桂と飛び出すと、チーム康光の控室からは「こんな手があるの?やばいじゃん!」「いきなり成ろうとしてるんだね」の声が上がり、攻勢に出た出口六段が主導権を握った。しかし郷田九段の▲2三歩成の切り込みには、今度はチーム稲葉の控室から「うおお!マジっすか!」の声。△7七角と強気も一手も、飛車の利きで形勢は郷田九段側に傾いた。
勝てばストレートでチーム勝利の出口六段、負ければチームの予選敗退が決まる郷田九段。どちらも絶対に負けられない強い思いは同じ。しかし、出口六段が奮起し△6六桂と突き刺し再び逆転。目まぐるしい攻防戦を制したのは、若武者・出口六段だった。終局後、「ようやく勝てたのが嬉しい。一番いいところを回してもらった。ここで勝てないとメンバーに選んでもらった甲斐もなかったのでホッとしています」とさわやかな笑顔が光った。
予選最終局で挙げた大きな一勝。出口六段の予選の奮闘を見守ったファンからは「わかむーおめでとー!」「いい笑顔だなあ」「ドキドキしたわー」「本戦楽しみ」「応援してます」「笑顔キラキラやな」「若武先生頑張れ!」と多くのコメントが寄せられていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)