スパルタ指導も深い愛情の現れ?将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Eリーグ第2試合、チーム渡辺とエントリーチームの対戦が7月16日に放送された。予選突破に王手をかけているチーム渡辺は、第1局に新鋭・渡辺和史五段(27)を選出。敵将の折田翔吾四段(32)を破って先勝を飾ったが、対局中には控室の渡辺明名人(棋王、38)から「和史、後で見たらショック受けるよ(笑)」とビシビシと厳しいツッコミが飛んだ。この愛情あふれる(?)ダメ出しに、ファンは大爆笑の様子だった。
【動画】渡辺明名人と近藤誠也七段による、愛ある(?)ダメ出し大会
渡辺五段と折田四段は初手合い。ABEMAトーナメント初陣となる折田四段は「この日に向けて取り組んできた。勢いよく頑張ります」、すでに第1試合で大舞台を経験済の渡辺五段は「伸び伸び指せればいいかなと思います。チームに良い流れをもって行けるように頑張ります」と落ち着いた様子で対局場へと向かった。先手番は折田四段。相掛かりの出だしから、先手は4六角と研究の一手。解説の高野智史六段(28)も「あまり見ない手ですね。入念な準備を感じさせます」と加えた。
先手は矢倉、後手は金冠と陣形を整えたところでいよいよ戦いへ。折田四段が▲2六銀と繰り出したところで、渡辺五段の手がストップ。先手の角の行先を問う△4五歩の一手だと思われただけに、控室の渡辺名人からは「なんでここで考える!」とのツッコミが飛んだ。チーム渡辺のエース近藤誠也七段(25)からも「オレならすぐに(△4五歩)突いちゃうけど…▲3七桂と跳ねられたら嫌ですよね」。渡辺名人は「突いてさ、相手の角の逃げ場をとりあえず見るでしょ!」と続けた。さらに△3三桂と跳ねた場面では「ええ~!?それは何を受けたんだ?」。△8六歩と進めれば「ええ!?」と一手ごとに名人からの“合いの手”が飛んでいた。
渡辺名人はこの状況に、「ダメ出ししまくってるね(笑)!和史があとでこれ見たらショック受けるよ!一手ごとにダメ出しされてるから見れないよ」と自ら大笑い。愛にあふれるダメ出しが通じたか、終盤で抜け出した渡辺五段が入玉した先手玉を詰まし、144手で先勝を飾った。渡辺五段は「序盤も中盤も冴えなくて苦しかったけど、一発狙いが決まって勝ちまで持って行けてよかった。内容はどうあれ、1勝は1勝。幸先の良いスタートが切れてよかった」と胸をなでおろした。
終局後には「お疲れマンモス!」と渡辺五段を迎えた渡辺名人。このコントのような控室のやり取りには、ファンから「圧力ナベ」「きびC」「スパルタモードや」「上司厳しいw」「毎回怒ってて草w」「和史先生いま泣いてるかなw」「かずしー!泣くなよー!」と爆笑のコメントが多数上がっていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)