営業職のパンプリングさん(34)は筋トレを本格的に始めて6年になる。
【映像】筋トレに沼る人「やめられない...」転職&離婚...失ったもの&病気リスク
「20代後半の時、家族でプールに行くと、私の目の前に『グラップラー刃牙』の範馬勇次郎のようなバキバキの背中をしている男性が現れた。それを見たときに雷に打たれるような感じがして。家族を守るためには、俺もこうならなきゃダメだと。それがきっかけだ」。
以来、自宅の子ども部屋を“トレーニングルーム”にするなどして、休息日を除く週に6回、筋トレに励む。
「始めてからの1、2年はしんどかった時期もあった。今日はやりたくない、休みたいと。それから、特に大会前になると体重の3倍のグラム数のたんぱく質を摂らなくてはいけないので、毎日毎日、同じ食事になってしまう。食べ物の楽しみは無くなり、作業をこなすような感じだ。
それでも筋肉は裏切らないので、やればやるだけ応えてくれる。今では筋トレが歯磨きみたいな存在になっているし、筋トレした後の自分が好き。鏡を見るだけでウットリしてしまう。性格もかなり明るくなったと思うし、とにかく思ったことを発信したいとも思うようになった。それは多分、仕事にも活きているのかなと思う」。
■「家族は…これから守ります(笑)」
今ではコンテストにも出場、YouTubeチャンネルも持つパンプリングさんだが、「家族は…これから守ります」と苦笑する。子どもを抱っこしたり、重い荷物を持ったりすることは無いというのだ。
「筋トレをしているとき以外は筋肉を休ませてあげないといけないので。だから基本的に荷物は持つべきじゃないし、子どもも抱っこすべきではない。週6でトレーニングをしているので、2泊3日以上の旅行になってしまうと2日間トレーニングができなくなってしまうのが怖いし、ストレスだ。だから1泊2日以上の場合、ジムがついているリゾートホテルを取るようにしている。
でも、私が胸の筋肉を動かすだけで子ども、子どもの友達も喜んでくれる。妻に至っては、マッチョを連れているということがステータスだと感じているようだ」。
パンプリングさんの筋トレに終わりはあるのだろうか。
「今のところ、特別やめたいだとか、やめるべきだとか、そういうことはない。ケガするまでは、あるいは病気になるまでは永遠に続けるものだなと自分に言い聞かせているし、なによりやらないと心配になってしまう。今の自分があるのは筋トレのおかげだし、ここで筋トレをやめてしまうと、全てを失ってしまう感覚がある。やめる訳にはいかない」。
■「“筋トレ離婚”してしまった」
同じく筋トレ歴6年のしょくさん(29)も、「自分では細いと思っちゃっている。とにかく大きくなって理想に近づきたい。筋トレが終わったそばから筋トレがしたい。本当に沼だ」と話す。
1年前には、トレーニング時間を確保するために転職。さらには夫婦円満だというパンプリングさんとは異なり、離婚も経験した。
「栄養を取らない時間を作りたくないので、プロテインバーとかを忍ばせて、仕事中にちょっとトイレ行って食べるとか、そういうことをしちゃう。首を痛めて5日間くらい休んだことが2回あるし、鶏肉をほぼ毎日食べるのだが、火を通すのが甘くて嘔吐・下痢をしたこともある。
それから、夜しっかり寝なくてはいけなかったりするので、子どもの保育園の送迎に寝坊することが何回かあって。あとは夜にトレーニングに出かけるので、家事の部分で妻に負担をかけすぎた。そういうことが要因になって、“筋トレ離婚”してしまった」。
「それでも身体が大きくなってくるのが嬉しくて、楽しくて」と話すしょくさん。「どんどんやろうという気持ちになる。だからパンプさんの気持ちもすごく分かる。物を持ちたくないし、極力筋トレ以外は休んでいたい。そういう弊害もあるが、やはり気持ちの面でポジティブになれるから」。
とはいえ、筋トレに生活の多くを捧げる家族を抱える側からは「迷惑被っている」との声も。高橋李佳子さんは、筋トレが大好きな父親の着替えを手伝わされている。「体の可動域が狭くなって、脱ぎ着が一人でできない。手伝ってと言われることがある」。
■「オーバートレーニング症候群」のリスクも
それだけではない。「とにかく家で食べる時は大皿にお肉バーン、野菜バーンみたいな感じで。メニューではなく、“今日のタンパク質は何グラム?”という言い方をされる。母は慣れているので“今日は200グラムぐらいあるよ”とか…」。
さらに本人の体調に異変をきたす場合もあるようだ。十分に筋肉が付いているにも関わらず、“まだまだ”と思い込んでしまう「筋肉醜形障害」や、十分に回復しないままトレーニングを重ねることで慢性的な疲労状態となる「オーバートレーニング症候群」を抱えてしまう人もいる。
オーバートレーニング症候群を経験したKenさんは「5日ぐらい連続で筋トレをやった時、朝になって目が覚めると、それまで味わったことのないような疲労感に見舞われた。起き上がることもできなかった」。
風邪を引きやすくなったり、食欲がなくなったりと、さまざまな自覚症状に見舞われ、医師からも筋トレをやめるよう忠告されたが、「休んでしまうと、どうしても筋トレした後の充実した状態である“パンプ感”を得ることができないので。それが苦痛で、無理してでも続けてしまった…」。再発などを繰り返し、完治までには5年以上かかったという。
時に自分の心身や周囲の人間関係にも影響を及ぼしかねない筋トレ。得られるメリットと同時に、やり過ぎによるリスクに関する正しい知識を身に付けることが必要そうだ。(『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側