大盤解説を務めていた棋士であっても「目がチカチカする」というほどの大混戦が誕生した。将棋日本シリーズ JTプロ公式戦の1回戦第3局が7月23日、広島市の広島サンプラザホールで行われ、稲葉陽八段(33)が山崎隆之八段(41)に181手で勝利した。中盤まで稲葉八段が優勢かと思われた一局だったが、終盤に向かうにつれて山崎八段の意表を突く粘りが功を奏し、形勢が二転三転する大混戦に。中継していたABEMAの「SHOGI AI」の形勢グラフも大きく乱高下する事態となり、ファンも「見たことない将棋」と大騒ぎになった。
19日にも竜王戦挑戦者決定トーナメントで戦っていた両者。その一局でも稲葉八段がリードをしていたところ、終盤で山崎八段が逆転、勝利を収めていた。山崎八段は自由奔放な指し回しにより、少々の不利から逆転してしまう「ちょいワル逆転術」の持ち主として知られており、対局前のインタビューから稲葉八段が山崎八段の棋風を笑顔で警戒するコメントもあった。
中盤までは稲葉八段がうまく指しペースを握っていたが、両者持ち時間・考慮時間を使い切り、30秒将棋になったところから大混戦が始まった。山崎八段が相手の裏をかくような粘りが続くと、ついに形勢で逆転。さらにその後は数手指すごとに形勢が行き来するような熱戦に。さらにその粘りを示すように盤面の駒が密集すると、視聴者からも「目が痛いw」「ぐちゃぐちゃで草」「駒が多すぎてわからん」「解説不可能だろこれ」「駒渋滞」といったコメントが殺到。山崎八段は頭を叩き、稲葉八段も頭を抱えるシーンまであった。
最終的には181手で稲葉八段が勝利。対局後の感想戦では、両者ともにハイテンションで振り返ると、会場に詰めかけたファンからも笑いと拍手が送られていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)