将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント1回戦第1試合、チーム豊島とエントリーチームの対戦が7月30日に生放送された。スコア4-4で迎えた最終局でエントリーチーム・折田翔吾四段(32)がチーム豊島・深浦康市九段(50)に勝利。藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)率いるチーム藤井を撃破した勢いそのままに、全員タイトル経験者で結成されたチーム豊島をフルセットの末に5-4で破り、再び“下克上”をやってのけた。
【中継】本戦初出場同士 チーム豊島 対 エントリーチームの激戦
エントリーチーム下克上が、その名の通りの大躍進を遂げた。最終局では再度振り駒が行われ、先手番はチーム豊島に。ともに得意戦法を繰り出し、戦型は相雁木となった。最後の作戦会議でも笑顔の豊島将之九段(32)、丸山忠久九段(51)に送り出された深浦九段は「リーダーの笑顔が心強い。泣いても笑っても最終局。自分の仕事をきっちりするだけ」と大きくうなずいて出陣。一方、折田四段は黒田尭之五段(25)、冨田誠也四段(26)から背中にバシッと気合とパワーを注入されて送り出され、「頼もしいチームメンバーがつないでくれた。大きな戦いをさせてもらえて幸せ。アゲアゲ将棋ディスティニ~♪」と高らかに歌い上げた。
序盤から互いに慎重な出だしをたどり千日手の筋もあったが、折田四段は後手ながらチャンスありと見て千日手を回避。折田四段が機敏な攻めを見せて優位に立った。バシバシッと自身の頬を叩く深浦九段に対し、折田四段も両手を額に当て、より一層集中力を深める。勝利への執念ともいえる粘りで深浦九段が逆転。しかし、最後まで一進一退、逆転に次ぐ逆転、200手越えの大熱戦を折田四段が制し、自軍のチーム名の通りの「下克上」をやってのけた。
予選トーナメントでは藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)率いるチーム藤井を撃破。下馬評をひっくり返して見せ、多くのファンの心を震わせた。本戦では第6局時点では2勝4敗とカド番に追い込まれたエントリーチーム。しかし、そこから黒田五段、冨田四段がそれぞれ1勝をつないでフルセットの大舞台にリーダーの折田四段を送り出した。百戦錬磨の深浦九段と死闘を演じた末に大金星をつかみ取った折田四段は、「みんなに感謝したい」と喜びを噛みしめていた。
次戦、2回戦では稲葉陽八段(33)率いるチーム稲葉と対戦する。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)