将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)への挑戦者を決める竜王戦挑戦者決定トーナメントが8月1日に行われ、山崎隆之八段(41)が永瀬拓矢王座(29)に108手で勝利し、挑戦者決定三番勝負への進出を決めた。山崎八段の三番勝負参加は2012年度の第25期以来以来10年ぶり2度目。広瀬章人八段(35)対佐藤天彦九段(34)戦の勝者と竜王挑戦をかけて戦う。
序盤から独自の世界観を展開した山崎八段が、10年ぶりの大舞台へ駒を進めた。永瀬王座の先手番で始まった本局は、山崎八段の志向で「向かい飛車」の戦型に。ABEMAで解説を務めた横山泰明七段(41)も「永瀬王座は意表を突かれたのでは」とコメントした異例の出だしとなった。中盤戦では永瀬王座のペースで進行し、互いに一歩も引かない激しい展開に。横山七段も「お互いに“らしさ”が出ている将棋」と話していた。
いよいよ迎えた終盤戦では、山崎八段が形勢互角に押し戻して玉頭への猛攻を開始。攻めを突き刺し、永瀬王座に粘る手段も与えぬ鋭い切れ味で、大きな一勝をもぎ取った。
終局後、山崎八段は「序盤は危ないなと思っていた。見たことのない形にしないと厳しいと思って、無理やりだったが慎重に行くよりも思い切りよく指して行こうと思っていた。読み抜けがあったら怖かったが、序盤に時間を使い過ぎていたので、勝負勝負と激しい戦いにして、ぎりぎりだったらいいと開き直ってやっていました」と振り返った。一方、永瀬王座は「序盤で主張する形にできればと思ったが、判断が難しかった」と話した。
1組4位から勝ち上がった挑戦者決定三番勝負。山崎八段にとっては、10年ぶりの三番勝負となる。山崎八段は「最近の自分の実力では考えていなかった。三番勝負のことはあまり意識していなかった。自分にとってもものすごく大きな勝負ですが、最後まで伸び伸び指したいなと思っています」と次戦を見据えた。2009年度王座戦五番勝負以来のタイトル戦の舞台へ、さらには自身初のタイトル獲得へ。挑戦権は広瀬八段対佐藤九段戦の勝者と争われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)