将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント2回戦第1試合、チーム永瀬とチーム広瀬の対戦が8月13日に生放送された。運命のフルセット最終局はチーム広瀬・青嶋未来六段(27)VSチーム永瀬・斎藤明日斗五段(24)の戦いに。大熱戦は千日手の末、斎藤五段が指し直し局を制した。この結果、スコア5-4でチーム永瀬が準決勝一番乗りを決めた。
これぞ、絶対に負けられない大一番。前局で勝利をもぎ取りカド番をしのいた増田康宏六段(24)から「リラックスして頑張って」と送り出された斎藤五段は、「増田さんが素晴らしい将棋を見せてくれたので、力が沸いてきました。この一局は何としてでも良い姿を見せたい」と緊張した面持ち。一方、青嶋六段は「特別緊張していることはなく、大一番を指せることの楽しみがある。泣いても笑ってもこの一局で決まる。チームに朗報を持って帰れるように集中して頑張りたい」と笑顔で対局場に向かった。
最終局は再度振り駒が行われ、青嶋六段の先手番と決まった。青嶋六段は四間飛車穴熊、後手の斎藤五段は左美濃に構えた。互いに早いペースで指し進め、中盤はねじり合いに。先手は自陣の堅さ活かして相手玉に迫った。しかし大白熱の終盤戦では斎藤五段が押し返したことから、青嶋六段は千日手を示唆。後手も応じて千日手が成立した。
先後を入れ替えて仕切り直しとなった指し直し局。戦型は三間飛車となった。後手の青嶋六段は残り6秒からのスタート。まずは持ち時間を取り戻すべく、トップスピードで指し進め美濃囲いに。先手の斎藤五段は急戦の出だしとなった。積極的な指し回しから、抜け出したのは斎藤五段。深い前傾姿勢で深く慎重に読み進め、持ち時間の少ない青嶋六段を攻め立てた。青嶋六段は△7五桂と勝負手を放つも、逆転には至らず。斎藤五段が執念を実らせ、死闘を制した。
終局後、斎藤五段の目には光るものが。緊張状態がほどけず、言葉が出ない中で、「ずっと苦しかった。僕が2連敗してもうダメだと思っていた。千日手になったが見せ場を作るだけでは意味がないと思って、負けたら明日死んでもいいと思って戦っていた」とこの一局に懸けた熱い思いを吐露した。一方、敗れた青嶋六段は「残念。指し直し局の方は全然ダメだった。千日手局の方は勝ちにいかないといけなかったが手が見えなかった」と肩を落とした。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)