将棋の渡辺明名人(棋王、38)が8月22日、3連覇を達成した第80期名人戦七番勝負の就位式に出席した。日本将棋連盟の佐藤康光会長(52)から推戴状が授与されたほか、副賞として「ゲーミング座椅子 極坐」が贈られた。
名人防衛、3連覇達成から約3カ月。よく日に焼けた笑顔から充実感を漂わせていた。4月から5月末にかけて行われた名人戦七番勝負では、2期連続で挑戦者となった斎藤慎太郎八段(29)を4勝1敗で退けた。渡辺名人は、「AI研究を取り入れ上手く行った点もあると思うが、第3局のように中終盤での逆転など良い手が指せないことも増えた。どこかが良くなるとどこかが悪くなる。バランスが難しいと感じた。年齢的な悩みも出てくるが、いろんなことにチャレンジしていきたい。一番大事なのは将棋への熱量。それを大事にして、秋からの対局や来年の名人戦に向かっていきたい」と晴れやかな表情を見せた。
そんな渡辺名人は、副賞にゲーミング座椅子を希望。協賛社の大和証券グループから、ローデスクにも対応した高級座椅子「極坐」2脚が贈られた。「パソコンの前にいる時間が長いので、腰の負担を軽減しようと思って」とさらなる研究環境の充実を喜んでいた。
現在は、第81期の名人挑戦者を決める順位戦が進行中。A級初参戦の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が挑戦者争いに加わるか注目を集めているが、「リップサービスを期待されているかと思って、過去の米長(邦雄永世棋聖)先生(が同じような立場だった時の)コメントを探していたのですが、見つからなかったのでこの場では控えさせていただきたい(笑い)。まだ2回戦が終わったところ。具体的に気にするようになるのは年明けくらいです」と“先手”を打っていた。
さらに、囲碁名人戦七番勝負の開幕を2日後に控える井山裕太名人・本因坊(33)も駆け付け、檀上ではW名人がそろい踏みするシーンも。「ここ数年は囲碁界もAIにどう対応していくか課題。渡辺名人は上手く取り入れる部分と、ご自分の強さをうまくバランスを取られているからこそ、これだけの結果を出されていると思う。各棋戦で長く防衛をされている印象があるので、名人戦でも是非長期政権を」と祝福していた。