2015年からスタートした『HiGH&LOW』シリーズは、男たちによる激しいバトルアクション、熱い友情や仲間との絆が多くの観客を虜にし、2022年となった今でも、長く愛されるシリーズとなった。最新作『HiGH&LOW THE WORST X』は、髙橋ヒロシによる不良漫画の金字塔『クローズ』『WORST』とのクロスオーバーが実現した前作『HiGH&LOW THE WORST』の続編にあたり、新たな闘争がドラマティックに描かれる。
『HiGH&LOW THE WORST X』にて高城司を演じる吉野北人は、『EPISODE.O』(ドラマ)から含めて実に4本目の役への向き合いとなった。司は、全国から札付きの不良が集まる漆黒の凶悪高校・鬼邪高校に通う3年生。頭を張る花岡楓士雄(川村壱馬)の頼れるよき相棒として、ブレーンとして立ち回るのだが、本作ではさらに物語のキーパーソンとしても輝く。
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吉野といえば、川村とともにTHE RAMPAGEでボーカルを務めているが、近年は俳優業にも力を入れている。現在放送中のドラマ『魔法のリノベ』での好演、主演ドラマ『トーキョー製麺所』など、バラエティに富んだ役に挑戦している姿がまぶしい。そんな吉野の今の心境とは。単独インタビューで聞いた。
「目だけは絶対に死なないように」
――『HiGH&LOW THE WORST X』では、これまでにないほど司がキーパーソンとなっています。挑むにあたり、吉野さんは演技プランなどをどう練って臨まれたんですか?
『HiGH&LOW THE WORST X』ではたくさんキーポイントが散りばめられていますけど、司もそのポイントのひとつなんですよね。今まではすごく冷静で、一歩引いて周りを見ているという司で、前半はその感じを出して。後半では司の状況が大きく変化するので、そうなった後から司の感情の出し方は考えていきました。これまで司はあまり感情を出せないというか…出さないというか…。
映画『HiGH&LOW THE WORST X』より
――鬼邪高のブレーンという立ち位置なので、冷静さが特徴でしたよね。
そうですよね。あまり感情を見せないタイプの人間だったので。今回は(出すという)二面性が結構描かれているなと思ったので、感情を出すけれども出し過ぎるようにもせず、目でしっかりと訴えるように意識しました。めちゃくちゃやられるし、すごくボコボコにされるけれど、目だけは絶対死なないように。そういう細かい意識を持ってやっていました。
――そのプランは吉野さんがご自身で考えられたんですか?平沼監督の演出があったんでしょうか。
自分で考えていきました。ノリさん(平沼紀久監督)は「こういう風に言ってみて」という基本的な言い方の演出はありますけど、根本的な感情は全部自分ですね。めちゃくちゃやられているけど、目は絶対に死なないようにするのは、ラストにかけての「こいつ絶対ぶっ潰す」みたいなところに持っていきたかったので、そうしました。
映画『HiGH&LOW THE WORST X』より
――司のギラギラ感が出ていたのが見どころというか、新たな一面でドキッとしますよね。
そうなんです。司も弱いわけじゃないので、そういうところで強さを見せていきたいなと思いました。司も司で、芯が強いところもあるじゃないですか。須嵜とのシーンでは負けたと思ったら「いや、まだ終わってねぇよ」みたいな男っぽいところも持っている。そういう二面性を、『HiGH&LOW THE WORST X』ではかなり意識してやっていました。
――『HiGH&LOW THE WORST X』ではキャラクター同士の仲が深まっていたり、成長も見られたりと、シリーズのファンには胸熱のシーンも多いです。吉野さんが特にグッときたポイントは、どこでしたか?
僕がすごい「うわぁっ…!」となったのは、三校連合が鬼邪高に奇襲をかけたとき、それぞれの一派たちの様子がちゃんと描かれているところです。なんかすごい切なくて。ここまでされたら楓士雄も黙っていないし、それは悩むよな、自分を責めるよな、って。すごい切ないシーンで胸に刺さりましたね。
新キャスト“世界の悠太さん”こと中本悠太(NCT 127/YUTA)、“すごく好き”な三山凌輝(BE:FIRST/RYOKI)との交流
――『HiGH&LOW THE WORST X』からは強力な新キャストも続々と登場します。吉野さんは皆さんを迎え入れるため、何か工夫しましたか?
いや、僕はしないですよ(笑)。
――しない、特にいつも通りと?
うん、しないですね。例えば、瀬ノ門だったら瀬ノ門で、鬼邪高は鬼邪高でそれぞれがしっかりまとまっていたんです。それぞれチームでやっているから、僕が行く必要もないというか、むしろ行かなくても全然成り立っていて。
――司は瀬ノ門工業でのシーンが多かったですね。
そうですね。瀬ノ門の凌輝(※天下井公平役)と同じシーンが多かったんですけど、……もうめちゃくちゃしゃべりましたね。一番仲良くなっちゃいけない人と仲良くなっちゃった(笑)。凌輝はなんかかわいい……ん、かわいい?かわいくはないけど(笑)、なんかすごく好きなんですよ。
――吉野さんとの共通点もあるんですか?
アーティストでお芝居もやっているという、お仕事での共通点はあります。凌輝は、何だろうな…しゃべるのがすごい好きなのかな?いろいろ話してくれたりするので、自分もやっぱり嬉しいし、自分もなんか話したくなるし。いろいろな話をするにつれて、すごい仲良くなっていった感じです。
映画『HiGH&LOW THE WORST X』より
――それは中本悠太さんも同じですか?
悠太くんは、シーン的には凌輝ほど一緒にいなかったんです。というのもあったし、悠太くんには僕はちょっと緊張もしていて。もうちょっと踏み込めばよかったな、とは思うんですけど「世界の悠太さん」なので、そんな簡単に図々しくいけないじゃないですか。
――吉野さんも「世界の北人さん」ではないですか?
まあ、いつか…(笑)!でも、悠太くんは本当に素敵な方で、自分が思っていた印象と違いました。フラットで、自然体で、大阪出身ということで大阪っぽい独特の雰囲気もありましたし。しゃべりとか、意外と面白い人だ!みたいな感じで、親近感はありました。
妥協せず、求め続ける芝居の可能性 自分ではまだ「もっとやれる」と思っている
――2020年にインタビューした際には、お芝居で先輩などに相談することがあるとお話されていました(※インタビュー記事はこちら)。あれから様々な経験をされて、俳優としてのキャリアも積んでいますが、今でも迷ったとき誰かに相談したりもしますか?
全然します。お芝居に正解はないとはいえ、僕はなんか…お芝居のやり方の正解はあるのかなと思っているんです。自分ではまだ「もっとやれる」と思っているので、今回も(前田)公輝くんだったり、経験が長い人にお芝居についていろいろ相談したり、お話させてもらいました。
自分は「本番よーい、スタート!」となると力が入っちゃって、声も固くなったりしちゃうんです。悩みとまではいかないかもしれないけど、そういうことを公輝くんに相談しましたね。公輝くんは「それはわかるよ」と言ってくれました。それでも、やっぱりしっかり役としてカメラも気にしないでちゃんと入り込んでいたら、絶対そんなことにはならない、とアドバイスもくれました。…わかっていても難しいんですよね。
――経験を重ねたら重ねた分、また新たなハードルが生まれてくるものなんですね。
僕はあまり器用なほうじゃないので、習得するまでにけっこう時間がかかるタイプなんです。…でも、習得しちゃえば…僕のもんですよ!
――僕のもん(笑)。
そのうち、お芝居の賞を獲れるくらいまでいけるかもしれないです。……嘘です(笑)。けど習得したいし、そうなったらいいなと思っています。
取材、文:赤山恭子、写真:You Ishii
映画『HiGH&LOW THE WORST X(クロス)』
男たちの友情と熱き闘いを描く「HiGH&LOW」シリーズと、累計8000万部突破・不良漫画の金字塔「クローズ」「WORST」(原作・髙橋ヒロシ)との奇跡のクロスオーバーが再び実現!
■出演:
【鬼邪高校】
川村壱馬、吉野北人、佐藤流司、神尾楓珠、福山康平、龍、鈴木昂秀、うえきやサトシ、中島健/森崎ウィン/前田公輝
【瀬ノ門工業高校】
中本悠太(NCT)、三山凌輝(RYOKI)、永沼伊久也、比嘉涼樹
【鎌坂高校】
藤原樹、岡宏明
【鳳仙学園】
塩野瑛久、葵揚、小柳心、荒井敦史、堀夏喜、坂口涼太郎
【鈴蘭男子高校】
三上ヘンリー大智、板垣瑞生、時任勇気、八木勇征、木村慧人、高橋祐理
■公開:9月9日(金)全国ロードショー
©2022「HiGH&LOW THE WORST X」製作委員会 ©髙橋ヒロシ(秋田書店) HI-AX