将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント2回戦第4試合、チーム渡辺とチーム天彦の対戦が9月3日に生放送された。初戦から登場したリーダー・佐藤天彦九段(34)が、チーム渡辺のエース近藤誠也七段(26)に勝利。準決勝進出への流れを作る重要な一局を制した。
九番勝負のゆくえを占う大事な開幕局。チーム天彦はリーダーの佐藤九段が登場とあり、チーム渡辺の控室からは驚きの反応が上がっていた。初戦を任された近藤七段は、「リーダーから登場なんですね。強敵ですけど、先手なので積極的にやっていきたい。トップバッターということでチームに勢いをもたらすような将棋を指したい」と話した。一方、近藤七段の登板を「予想通り」だったという佐藤九段は、「大事な初戦ですが気負わずに。自分の力を出して良い将棋が指せれば」と対局場へ向かった。
公式戦での対戦成績は2局で、ともに1勝1敗。本局は近藤七段の先手で、矢倉の出だしとなった。じりじりとした序中盤から、先手は▲5三銀から踏み込むと馬を作ることに成功し、近藤七段がペースを掴んだ。佐藤九段は持ち時間を削りながらも、細かい技を繰り出して猛追。互いに秒読みの手に汗握る終盤戦では、佐藤九段が鮮やかな切り返しを見せ、逆転勝利を飾った。
予選は5戦全勝。本戦初戦でも白星を掴んだ佐藤九段は、「だいぶ苦しい将棋になってしまって、厳しいなという感じだった。最後はたまたま詰んでいた感じ。それまでの流れから言って負けなのかなと思っていた。運が良かった。内容はともかく、結果が良い感じで滑り出せた」とホッと胸をなでおろした。
一方、星を持ち帰ることができなかった近藤七段は、「最後秒に追われてから手が見えず、残念な恰好になってしまった。9七角成をうっかりした。悪い流れになってしまったが、内容はそんなに悲観することはないと思う。徐々に調子を上げていきたい」と前を向いた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)