“手取り9万8千円” 公的機関で働いていても不遇な待遇「官製ワーキングプア」と呼ばれる非正規図書館員の訴え
「やっぱりおかしい」非正規図書館員の訴え
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「私は最低賃金の+40円、手取り9万8千円で働く非正規図書館員です。図書館の今を知り、未来のために署名をいただけませんか?」

 インターネットに書き込まれた非正規図書館員のある訴え、待遇改善を求める声に反響が集まっている。

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 声を上げたのは、地方都市の公立図書館で「会計年度任用職員」として非正規で働く20代の女性。「私は年収150万程度。手取りだともっと低いです。お金が無いので弁当を持って行って、外でジュースなんて飲みません」。このようにつづり「最低賃金の引き上げ」や「退職金の支給」などを求める署名活動を始めた。9月5日現在、この署名には5万人近い賛同の声が集まっている。

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 こうした非正規図書館員の待遇に疑問を感じ、署名を立ち上げたのは滝本アサさん(仮名)。活動のきっかけについて話してくれた。

瀧本さん「色々非正規の人のブログとか読んでやっぱりおかしいなと思ったのがきっかけです。お弁当は食パンにゆで卵をつぶしてマヨネーズで和えたのを毎日持っていって、本が好きなので図書館に入らない本は自分で買うのですが、今月はお金がないから買えないみたいな…」

 日本図書館協会によると、2021年の全国の公共図書館数は3316館と20年間で2割以上増加している。反対に減り続けているのが、公共図書館で働く正規職員の数。2001年には1万5000人以上いたのが2021年には9459人に。その分、滝本さんのような非正規職員が増えている。

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 「本当に平均的なもので、都内でも10万円を手取りで超えることはあんまりないと思う」。こう話すのは、かつて図書館で司書を務め、図書館学が専門の都留文科大学の日向良和教授。そもそも、非正規の図書館職員はなぜこれほどまでに低賃金なのか。日向教授に話を聞いた。

日向教授「市町村の非正規の方々というのが、家庭に収入がある人が前提で、パートやアルバイトと同様です。家計をちょっと助けるというレベルが前提になっているものなのです」

「1980年代から公務員が減らされ続けて、そういうところの正規職員が減る代わりに今までアルバイトだった人たちの労働勤務時間を増やして仕事に充てたということです。ですが、賃金体系は家計の補助という感覚のままですから時給が非常に抑えられているかと思います」

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 公的機関で働きながらも、収入や待遇などの面で不遇な状況にある非正規雇用労働者は「官製ワーキングプア」と呼ばれており、日向教授は「図書館員だけに限った問題ではない」と指摘している。

日向教授「図書館に限らず、役所の非正規雇用の方の働き方はいわゆる“ワーキングプア”と呼ばれており、社会全体でそういう問題を抱えているのです。そこにジェンダーの問題も絡んでいて『我々の意識が変わらないと難しいよね』というふうになるまでには、やはり時間が掛かるかなと思っています」

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 現在、こうした非正規職員の安定した雇用や待遇改善に向けた動きが徐々に高まりつつある。こうした中、滝本さんは「図書館員が、“誰もがなりたい仕事”になって欲しい」と訴える。

「図書館員の仕事が、誰でもなりたいという仕事になってほしいというか、普通に自立して働いて生きていけるお給料がもらえて、誰かに扶養されるとかじゃなくても生活できる職業であってほしいです」

「(現在の職場環境は)自分以外で、家族が養ってくれるとか、40~50代の子育てが一段落した主婦の方が多いです。いろんな年代、性別、育ってきた環境、いろんな人がいた方が企画で会を開くにもいろんなアイデアがあった方が良い。でないと時代から取り残されて行ってしまう。それを成していくためには、まず生活ができる給料をもらえるというのが一番大事です」

(『ABEMAヒルズ』より)

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