将棋の順位戦A級3回戦が9月7日に行われ、菅井竜也八段(30)が永瀬拓矢王座(30)に200手で勝利した。この結果で、菅井八段は通算成績を2勝1敗とした。次戦の4回戦では、佐藤康光九段(52)との対戦が予定されている。
同学年、奨励会入会同期対決は、菅井八段が制した。永瀬王座の先手番で始まった本局は、後手中飛車の戦型に。棋界屈指の研究家同士の対決とあり、序盤から互いに研究をぶつけ合う激しい展開となった。中央地点を戦場に、難解な中盤戦は永瀬王座がペースを握った。
技と技がぶつかり合う激戦とあり、永瀬王座は持ち時間を大量に消費。夕食休憩後には、菅井八段と約2時間の差が付く場面もあった。夜戦に向かうにつれ、後手の菅井八段が持ち前の勝負術を発揮。完成されていなかった陣形をまとめ上げ、いよいよ本格的な攻撃を開始した。
深い集中からか、互いに一手の消費時間と合計の時間を何度も記録係に確認。後手の猛攻に、ベストを脱ぎワイシャツ姿になった永瀬王座は受けの体制となった。必死に後手陣に攻撃を仕掛けるも、逆に攻防の一手となる角が放たれ、形勢は菅井八段寄りに大きく傾いた。
先に秒読みが始まったのは永瀬王座。しかし、その秒読みを合図に入手した飛車を後手陣奥深くに打ち込むと、再び永瀬王座が息を吹き返した。ABEMAの「SHOGI AI」は激しい波を描くシーソーゲームに。先手は1分将棋に入ってから約2時間、盤上の駒を目いっぱい使って粘りを見せたが、最後に勝機が訪れたのは菅井八段だった。総手数200手、終局時間は8日0時28分と、日付を越える深夜の大激戦を制し、大きな勝利を掴み取った。
菅井八段は1回戦で斎藤慎太郎八段(29)に敗れたが、2回戦では藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)に快勝。本局を制したことで、通算成績2勝1敗とした。今期のA級では、ただ一人の生粋の振り飛車党。プロでは少数派ながら、アマチュアには多く指されており、振り飛車党のトップ棋士の活躍には常に多くのファンが熱視線が注がれる。その期待を背負い、次戦の4回戦では佐藤康光九段と対戦する。
(ABEMA/将棋チャンネルより)