「ガンダム」シリーズのTVアニメ最新作となる「機動戦士ガンダム 水星の魔女」が、10月より放送開始しました。本記事では、「水星の魔女」のOPにて原作としてクレジットされている表記や、原作漫画・小説の有無について解説していきます。
目次
- アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』とは?
- アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の原作は?
- 原作:矢立肇とクレジットされる理由は?
- 矢立肇のような原作クレジットはほかにもある?
- 「ゆりかごの星」は原作小説?
- アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の原作のまとめ
アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』とは?
MBS/TBS系全国28局ネットにて、2022年10月2日より毎週日曜午後5時から放送スタートした「水星の魔女」は、「ガンダム」のTVアニメシリーズ約5年半ぶりの新作です。スレッタ・マーキュリーという名の少女が辺境の地である水星から、モビルスーツ産業最大手の「ベネリットグループ」が運営する「アスティカシア高等専門学園」へ編入するところから物語が始まります。
本編の前日譚にあたるエピソード「PROLOGUE」も制作されており、スレッタによく似た4歳の女の子、エリクト・サマヤが主人公として登場しています。
アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の原作は?
「水星の魔女」はアニメオリジナル作品のため、原作となっている漫画や小説は存在しません。「水星の魔女」のOPにて原作としてクレジットされている名称は、矢立肇(やたて はじめ)と富野由悠季(とみの よしゆき)の2名です。この両名のクレジットは「水星の魔女」以外にも、ほぼすべての「ガンダム」作品にクレジットされています。
また、「水星の魔女」の小説化が決定していますが、アニメのノベライズ版となるため原作小説とは異なります。今後発表・発売される可能性のあるコミカライズ版も同様です。
ノベライズ第1巻発売
「水星の魔女」ででSF考証を務める高島雄哉による本格ノベライズ第1巻が2023年2月25日に発売されました。新キャラクターも登場する小説版オリジナルエピソードも収録されています。
小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女(1)
著 高島 雄哉
原作 矢立肇・富野由悠季
定価: 792円(本体720円+税)
原作の矢立肇とは?
矢立肇とは、「ガンダム」作品を制作するサンライズのオリジナル作品にて、原作・原案のクレジットに使用される共同ペンネームです。「ガンダム」作品のほか、「装甲騎兵ボトムズ」シリーズなどのサンライズオリジナル作品にもクレジットされています。
高橋良輔監督の証言によると、矢立肇のペンネームは元サンライズ社長の山浦栄二氏を指すものだった時期もあるようですが、基本的に現在は共同ペンネームとして表記することで作品の権利関係を管理するために使用されています。
原作の富野由悠季とは?
富野由悠季氏は、1979年に「機動戦士ガンダム」を監督した人物です。「水星の魔女」をはじめとするすべての「ガンダム」作品の大元となった作品のため、原作としてクレジットされています。もともとは富野氏も各種権利を有していましたが、当時のサンライズに譲渡したと富野氏ご本人が語っています。
原作:矢立肇とクレジットされる理由は?
オリジナル作品の版権管理のため、共同ペンネームとして矢立肇が原作としてクレジットされています。
漫画原作のアニメ作品の場合、基本的にはアニメ化される漫画の著者が原作としてクレジットされます。著者は著作権によって作品の権利が守られており、二次的著作物となるアニメなどを制作する場合、著作者(原作者)の許諾を得る必要があります。
オリジナル作品の場合は、監督や脚本家が原作者となるケースもあり、その場合も同様に原作者の許諾を得なければ脚本や映像の制作はできません。矢立肇というクレジットを共同ペンネームとして表記することによって、先述の通りサンライズの作品に発生するさまざまな権利を会社として管理しています。
矢立肇のような原作クレジットはほかにもある?
矢立肇と同様に、会社の共同ペンネームとしてクレジットされているものとして、東映アニメーションの東堂いづみが挙げられます。「おジャ魔女どれみ」シリーズや「プリキュア」シリーズにて、原作としてクレジットされています。
また、東映が制作する特撮作品などでは、八手三郎という共同ペンネームも原作としてクレジットされています。
「ゆりかごの星」は原作小説?
「水星の魔女」公式サイトに掲載されている、「ゆりかごの星」(著・大河内一楼)は、OPテーマとなっているYOASOBIの「祝福」原作小説と表記されています。「水星の魔女」のOPテーマを手掛けるYOASOBIは、小説を原作として音楽を制作することで知られているため、「水星の魔女」第1話の放送後、楽曲の原作小説として「ゆりかごの星」が公開されました。
あくまで「ゆりかごの星」は楽曲「祝福」の原作小説となっており、「水星の魔女」自体の原作小説ではありません。
アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の原作のまとめ
「水星の魔女」の原作として、矢立肇と富野由悠季氏がクレジットされています。矢立肇はサンライズオリジナル作品の共同ペンネームとしてクレジットされており、富野由悠季氏は「機動戦士ガンダム」の生みの親の1人としてクレジットされています。また、「水星の魔女」のOPテーマ「祝福」の原作小説として、「ゆりかごの星」が公式サイト上で公開されていますが、「水星の魔女」自体の原作とは異なります。
「ガンダム」作品の歴史の一端に触れることができるので、「水星の魔女」を見る際は原作クレジットにも注目してみてはいかがでしょうか。
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