将棋の順位戦A級6回戦が12月7日に行われ、菅井竜也八段(30)が稲葉陽八段(34)に勝利、大激戦の“兄弟弟子”対決を制し4勝目を飾った。この結果、通算成績は菅井八段が4勝2敗、稲葉八段は3勝3敗となった。
関西の名門・井上慶太九段(58)門下の両者が、A級6回戦で激突。公式戦通算14局目となる対戦では、弟弟子の菅井八段が10度目の勝利を飾った。本局の先手は稲葉八段。振り飛車党のエース・菅井八段の四間飛車で、相穴熊の持久戦へと進行した。少年時代からしのぎを削ってきた間柄。互いの手の内は熟知しているからこそ、持ち時間を使って慎重に進行し、長く難解な中盤戦のねじり合いへと展開した。
先に抜け出したのは稲葉八段。丁寧な指し回しでペースを握ると、菅井八段の攻めの手を次々に封じ込めていく。後手は受けの手を繰り出し、激しい攻防戦が繰り広げられた。終盤戦では稲葉八段が馬切りから猛攻を開始し、じわじわとリードを拡大した。
しかし、辛抱が続いた菅井八段が粘りの中から反撃を開始。日付が変わる頃には、ノータイムの応酬から形勢を五分まで押し戻して見せた。時間に追われながら一気に攻勢に転じ、鉄壁の先手陣を切り崩していく。菅井八段が流れを引き戻して逆転に成功すると、最終盤の飛車打ちから押し切って勝利をもぎ取った。終局時間は0時59分、192手に及ぶ大熱戦だった。
この結果、菅井八段は4勝2敗で上位グループに進出。5回戦までに4勝1敗で首位に並ぶ豊島将之九段(32)、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)の背後にぴたりと迫り、挑戦権争いを目指す。次戦では糸谷哲郎八段(34)との対戦が予定されている。
一方、敗れた稲葉八段は3勝3敗に。次戦、斎藤慎太郎八段(29)戦から白星を集めて上位進出を狙う。
(ABEMA/将棋チャンネルより)