防衛増税はなぜ拙速な議論に? 片山さつき議員「夏の時点で旧統一教会問題がここまで大きくなると予測していなかった」
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 16日、政府は安全保障戦略を大転換し、防衛関連3文書を閣議決定した。最も重要な国家安全保障戦略では、中国や北朝鮮など周辺国がミサイル戦力を質・量ともに増強させる中、敵のミサイル発射基地などを攻撃する「反撃能力を保有する必要がある」と初めて明記した。防衛力整備計画では、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入などに来年度から5年間でおよそ5兆円を計上するという。

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 同日、岸田総理の意向の下、自民・公明両党は来年度の税制改正大綱を正式決定。防衛費増税の財源として2027年度には4兆円が追加で必要となり、そのうち1兆円余りを法人税、所得税、たばこ税の増税で賄うと決めた。

 ただし、増税を始める時期については「2024年以降の適切な時期」と議論を先送りに。この動きに野党だけではなく、自民党内からも反対や疑問の声が出ている。

 自民党税制調査会の副会長を務める片山さつき参議院議員は「十分な議論がなされていない」と批判。「防衛のどこを強化するのかを理解している国民は1割いるかいないかだ。きちんと議論をしない限り国の安全は守れない」と指摘している。

 増税に伴う財源のあり方、議論の進め方は妥当だったのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、片山参議院議員と共に考えた。

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 閣議決定された防衛3文書については、片山氏は内容をどのように評価しているのか。

 片山氏は「北朝鮮も中国もロシアも戦後、最悪に厳しい」とした上で「3文書自体は非常に評価している」とコメント。

「ミサイルを増やすのは日本の生存権を守る上で必要だ。私が防衛の主計官だった2004年ごろ、1兆円を投じて古いタイプの戦車を新しいものに入れ替えようと議論した。2ヶ月話し合った後、小泉総理が『この辺でやめる』と言って、話がまとまった。今回は中身に関する納得感が得られないし、具体的に何をどう増やし、日本のどこに配置されるのかも分かっていない。それは残念だ。来年だけで全部決まるわけではないので、国民から理解を得るためのプロセスはまだ取れると思う。防衛力強化に反対の国民が増えてしまったら、それこそ中国やロシアの思うつぼになる」

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 ジャーナリストの堀潤氏は「文書を全部読んだら、この防衛計画がいかに壮大なものか分かった」と話す。

「航空宇宙の分野で、無人アセットといってAIを活用した、これまでにない兵器のあり方も強化していくと書いてあった。大胆な予算組みで、恒久的な予算が必要だ。国民は、その全体像をまだ把握できていないと思う」

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 プロデューサー・慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏は「岸田総理はそんな思い切り決めない人だと思っていた。『丁寧に聞く』と言っていた雰囲気はどこに行ったんだと思う。説明が少ないから陰謀論がいくらでも噴出する」と指摘。「国民の声を聞くと言っていたのに、もう国民の声なんてどうでもよくなるくらいのことが起きているのではないか。国民が勝手に妄想して『岸田総理は何かの傀儡だ』と言われても、訂正できないくらい、大きな力に動かされている気がする」と独自の見解を述べた。

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 なぜ岸田総理はこのタイミングで防衛費増額の増税を決めたのか。国会会期中、旧統一教会の被害者救済法案などに力を入れた結果、増税の議論ができなかったのか。

 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏も「官邸は前もって開示するスケジュールを決めれば良かった。なぜ、今になって突然進めたのか?」と投げかけた。その上で片山氏に対して「単に忘れてて『今出さなきゃ』と夏休みの宿題を8月31日にやるような話なのか。それとも別の理由があったのか」と質問した。

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 片山氏は「実際、年末までに防衛の計画は決めなきゃいけなかった。『中期防衛力整備計画が決まらない』『時期がずれる』と言ったら、周辺国に日本の弱さを示すだけから、これは決めなくちゃいけない。ただ、財源論を一歩も譲らず戦おうとした財務省側の勢力が非常に強かった結果だ」と答える。

「夏の時点で、旧統一教会問題がここまで大きくなることを、全く誰も予測していなかった」

 片山氏の回答に、ひろゆき氏は「結局、岸田総理が『いろいろな人の話を聞く』と言ったわりに、最後は聞きもしないでやってしまった。むしろ岸田総理の本性が出てきてやる気になったんだなと、僕は評価している。何もしないでじわじわ悪くなるより『とりあえずチャレンジしようぜ、失敗したら俺が責任を取る』という方がむしろうまくいく可能性もある。そういう意味で期待はしている」と述べた。

 反対の声も多い防衛力強化に伴う増税。今後の議論に注目していきたい。(「ABEMA Prime」より)

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