藤井聡太竜王が史上最速公式戦300勝達成 順位戦A級6回戦で佐藤天彦九段に勝利し単独首位に “最年少名人”に向けて前進
【映像】ABEMAでみる

 将棋藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が12月23日に行われた順位戦A級6回戦で佐藤天彦九段(34)に勝利し、プロ入り後最速・最年少で公式戦300勝を達成した。これまでの記録は羽生善治九段(52)の四段昇段後6年4カ月、21歳7カ月での到達。藤井竜王はプロ入り6年2カ月、20歳5カ月とそれぞれ記録を塗り替えた。さらに本局の勝利で、初参戦の順位戦A級で5勝1敗と単独首位に。渡辺明名人(棋王、38)への挑戦、さらには最年少名人獲得記録更新に向けて大きな一勝を飾った。

【動画】藤井竜王が公式戦通算300勝を達成した一局

 数々の最速&最年少記録を打ち立ててきた藤井竜王が、またひとつその栄誉を増やした。本局は、棋王戦挑戦者決定二番勝負を争う佐藤九段との対戦。佐藤九段の先手番で、矢倉の出だしとなった。

 序盤戦では玉の位置を巡る繊細な駆け引きが行われ、形勢は張り詰めたように互角を辿った。長考合戦となった中盤戦では、難解な局面から藤井竜王が強く踏み込みペースを掌握。これまでに1勝5敗と苦しい星取りとなった佐藤九段は、勝利を目指して果敢に攻撃を仕掛けたが、後手の手厚い受けが待ち構える。藤井竜王に攻めのターンが回ると、アクセル全開の踏み込みで佐藤九段を突き放し、最後は詰みに討ち取った。地元・愛知県の名古屋市に今年「第3の常設対局場」として開設された名古屋将棋対局場で、公式戦300勝の節目の勝利を飾った。

 勝利した藤井竜王は「すぐに終盤になってしまうような変化が多く、距離感が難しい将棋だったのかなと思います」とコメント。敗れた佐藤九段は、「全体的にはずっと苦しかったのかなと思います」と話した。

 この結果、藤井竜王は6回戦終了時点で5勝1敗と単独首位に浮上。二番手の4勝2敗からは、名人経験者の豊島将之九段(32)、2年連続名人挑戦者の斎藤慎太郎八段(29)、さらに藤井竜王に唯一の黒星を付けた菅井竜也八段(30)ら5人が追走している。藤井竜王は「まだ残り3局あるので、挑戦を意識するというよりは残りの対局それぞれに全力を尽くせればと思っています」と語った通り、厳しい戦いが待ち受けることに変わりはないものの、A級初参戦で挑戦権獲得、さらに名人位奪取となった場合は谷川浩司十七世名人が保持する21歳2カ月の史上最年少名人獲得記録を更新するとあり、期待は膨らむばかりだ。

 さらに、未公開対局を含めて公式戦300勝を達成。羽生善治九段(52)が保持していた四段昇段後6年4カ月、21歳7カ月での300勝到達を、藤井竜王がプロ入り6年2カ月、20歳5カ月とそれぞれ記録を更新した。現在、挑戦権を争う棋王戦、年明けから始まる初防衛戦の王将戦、さらには名人初挑戦に向けて大きな弾みを付けた結果となった。

 なお、両者は中3日の12月27日に行われる棋王戦挑戦者決定二番勝負第2局でも激突。初挑戦を目指す藤井竜王は「本局をしっかり振り返った上で、また良い状態で臨めればと思います」、7期ぶりの2度目の挑戦を狙う佐藤九段は「今日の将棋がどうだったのかというところをしっかり反省し総括して、27日の対局にも全力で向かっていければと思います」と話した。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】第81期 順位戦 A級 6回戦 藤井聡太竜王 対 佐藤天彦九段
【映像】第81期 順位戦 A級 6回戦 藤井聡太竜王 対 佐藤天彦九段
藤井聡太竜王、最新の対局予定・速報はここでチェック