将棋界のギャグ王も、感涙を止めることは出来なかった。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」はいよいよ本戦へ。見事予選突破を果たしご褒美グルメツアーに繰り出したチーム豊川の豊川孝弘七段(55)、渡辺和史五段(28)師弟だったが、2人の元に届いたのは一通の手紙だった。差出人は渡辺五段の母。愛息へ、そして師匠へ、今だからこそ話せる感謝の気持ちがたっぷり詰まった内容に、豊川七段も涙せずにはいられなかった。
前回大会優勝のチーム畠山、準優勝のチーム鈴木と並みいる強豪を破り、初出場ながら堂々の予選Aリーグ2位通過を決めたチーム豊川。強敵相手に奮闘する渡辺五段と、時に優しく時に厳しく弟子を支えた豊川七段の見事なコンビネーションは視聴者を大いに沸かせた。第一目標の予選突破を果たした師弟は、豊川七段が居を構える福岡県へ。日本屈指の美食の街とあり、“豊川師匠プレゼンツ”のご褒美グルメツアーへと出かけた。
まずは国内有数の観光地でもある太宰府天満宮へ。参道では明太子茶漬けに梅が枝餅と、ご当地グルメを食べ歩きして楽しんだ。天神さまに願うは、もちろんトーナメント優勝。更なる激戦が予想される本戦で力を合わせて戦うことを誓った。
まだまだツアーは終わらない。お次は、豊川七段が行きつけにしているという水炊きの名店へと向かった。忙しい日々を送る師弟が、久しぶりに顔をそろえて水入らずの会食。豪華な食卓にお酒も進み、豊川七段のテンションは天井知らずの様子だった。
食事も進んだところで、豊川七段が「メッセージを預かっています」と取り出したのは一通の手紙。差出人は渡辺五段の母だった。幼少期、修行時代から振り返り、プロの棋士の道を選んだ愛息へ「今だから話せますが…」と母親の心境を吐露。2人は、「一局一局平常心で力を尽くせるようにと祈り、明るく前向きにサポートするように心がけましたが、うまくいったかどうか…」と寄せられたメッセージを噛みしめるように聞き入った。
手紙には師匠への深い感謝の気持ちも込められており、愛弟子の長く苦しい奨励会時代を思い起こした豊川七段の目には光るものが。普段、口を開けば矢継ぎ早にダジャレを炸裂させるギャグ王も、「素晴らしいですね、あのね…うん…」と言葉が続かない。感涙がこらえきれなくなると、後ろを向いてハンカチで目元をぬぐっていた。
誰よりも身近で渡辺五段をサポートし続けた家族からの手紙とあり、ファンからは「あれ?目から汗が…」「楽しく観てたら最後泣いてしまった」「素敵な師弟ですね」「これは電車で見たら大変」「あかん、これは泣くやつ」「この師弟の雰囲気が一番好きかも」「泣かせないでよ~」「もらい泣きしちゃった」と多くの反響が寄せられた。
渡辺五段は「どんどん良い成績を出していくことが師匠と母への恩返しです。もっともっと頑張らないと。これ以上話していると私も泣いてしまいそうです(笑)」と照れ笑いを浮かべながらも、しっかりとした口調で更なる成長を誓っていた。福岡の地でパワーチャージしたチーム豊川は、「いくよ和史!優勝目指して頑張ろう!」とさらに絆を深めた様子だった。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)