家計にも大きく影響する議論が続く今国会。中でも注目されているのが、年収が130万円を超えることによって社会保険料の負担が発生し、手取り額が減ってしまう“130万円の壁”だ。
100人以下の勤め先で働くパート従業員で、夫が会社員の場合、年収130万円以上になると扶養を外れて社会保険料の負担が生じる。国民年金・国民健康保険加入なら約30万円の負担増となり、目安として180万円以上働かないと手取りが減ることになる。
1日の国会で、平将明衆院議員は、130万円の壁による“負のスパイラル”を指摘した。
「時給を上げると『壁を超えてはいけない』として労働時間を減らす“働き控え”が起きる。そうすると人手不足がさらに進み、また時給が上がって時間を削るという無間地獄になる。この年収の壁を一時的に給付したらどうなるか」
減額分を給付で補い、130万円の壁を穴埋めするという提案に対し、岸田総理は「幅広く対応策を検討していきたい」と回答。翌日、野党からの追及に加藤厚労大臣は「社会保障は特に公平性が大事だ。(社会保険)適用拡大をはじめとした取り組みを中心に、さらにどういう対応が可能なのか議論を深めたい」としている。
こうした問題について『ABEMAヒルズ』は、やさしいお金の専門家・横川楓氏に話を聞いた。
■横川楓氏「収入が減って受けられる恩恵も。比較しながら考えて」
――“130万円の壁”の穴埋め案についてどう見る?
横川:立場がパート従業員ということがあるので、条件の不平等さを埋めていくというのは、この制度を導入する上では必要になってくるものだと思う。
――国が穴埋めすると、自営業者の妻や独身の人からは「会社員の配偶者優遇だ」と反感を買うのでは?
横川:もちろん130万円を超えて働いていて、きちんと社会保険料を納めている方もいる。立場の違いによって使われる制度や給付されるお金が変わるのは慎重に検討していかなければならない。
――扶養から外れると、夫の家族手当などがもらえなくなることも。現実的に130万円の壁を超えて働くのは難しいのでは?
横川:家族手当等も企業の決め方によって異なる。企業側は価値観のアップデートだったり、制度に沿った手当をしていくことが必要だ。
――従業員101人以上の企業では、年収106万円を超えると社会保険への加入義務がある。壁を超えて働くのか、働く時間を調整するのか、どちらがいい?
横川:企業として社会保険に加入すると、年金であれば「厚生年金」、健康保険であれば「健康保険組合」に加入する。厚生年金は将来もらう年金額が増えるし、健康保険には傷病手当金などがある。そちらに入っていることで受けられる恩恵と比較しながら、壁について考えていく必要がある。
(『ABEMAヒルズ』より)
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