「可愛い方言ランキング」「上司に言われて傷ついた言葉ランキング」など、世間の人気の評価を可視化できるランキング。これだけ幅広くあると、どうやって付けているのか不思議に思ったことはないだろうか。
【映像】バラバラすぎる…! 各社の「住みたい街ランキング」比較表(画像あり)
ニュース番組「ABEMA Prime」では、「住みたい街ランキング」を例に議論。その裏側について深掘りした。
同ランキングは、元々2003年の長谷工アーベストがパイオニアだ。その後、各社が続々と発表し、今ではメジャーなランキングとなった。“作る側”の1人、大東建託賃貸未来研究所所長の宗健氏はこう話す。
「『1位だからココに住んでいます』という人に僕は会ったことがない。ランキングは役に立たないと思う。実は住みたい街の第1位は『特にない』だ。第2位は『今住んでいる街』。その上で、住みたい街をどこか選んでもらうと、例えば吉祥寺や横浜が上位になる。だから各社結果がバラバラになる。5、6種類は軽くあると思う。これが実態だ」
各社バラバラという意味では「売りたい街ランキングではないか」という皮肉も寄せられている。宗氏は「名前は出せない」とした上で「そういうランキングも中にはあるようだが、そこまで商売しているのはあまりない。みなさん無邪気にやっている。元々は単なる編集企画で、そんなに深く考えて始めたわけではないと思う」と答える。
実際に上位に入ると、地価は上がるのだろうか。「良い街」の定義はあるのか。
「人口増加率と合わせて調査したが、実はあまり相関関係はない。人によって『良い街』は違う。例えば子育て世帯なら、実は待機児童の多い街のほうが支援策も充実していて良かったケースもある。子育てにいい街だから人が集まってきて、結果的に施設が足りなくなって待機児童が生まれる。一方で、子どもの数が減っている街は、待機児童がゼロになる。世田谷も今は頑張って待機児童をゼロにしたが、以前は100人単位で待機児童がいた」
具体的におすすめの街は立場上言えないのか。
「僕らが作っている『住みここちランキング』は、やはり年収などと相関がある。街の良さは建物やお店だけではなく、住んでいる人たちが作っている。人間は自分と同じような人たちが多いところを心地よく感じる。『自分と似た人がどこにいるのか?』と考えれば、具体的にイメージが湧くと思う」
宣伝費にお金をかけている可能性もある。No.1を作り出すランキングそのものに法的な問題はないのか。
番組が深澤諭史弁護士に聞いたところ、下記のコメントが寄せられた。
「事実として調査をしていて、その結果がNo.1だったことに間違いはない。違反に問うことは難しい。教訓として考えると、人をだますのに嘘をつく必要はないが、騙されてしまうケースはある」
中には消費者庁が処分しているケースもある。家庭教師で「利用者満足度No.1は根拠がない」とされたケースだ。実際には使っていない人の回答があり、利用者満足度ではなく誘導に近いものだとされた。
実業家のハヤカワ五味氏は「10年くらいEC事業にかかわっている。『No.1』と書くと、圧倒的に売れる。だから広告費に50万円をかけるくらいなら、その50万円を使って1位を取っておいたほうがいいとなってしまう。それくらい効率がいい」と指摘。
慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏も「No.1は有効期限が長い」と話す。
「平均で『ずっと3番です』よりも、1回でもいいから1番を取るほうが宣伝に使える。僕は中学校1年生の1、2学期で校内テスト1番だった。それを言いふらしてクラスに認知させた。企業も何か1回1位を取ることが大事になる。ユーザーからしたら、本当は平均的にある程度上位のものがいいはずなのに。そこもインチキだと思う」
(「ABEMA Prime」より)
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