将棋の朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント決勝が2月23日に行われ、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が渡辺明名人(棋王、38)に勝利し2年ぶり4度目の優勝を果たした。藤井竜王は2022年度、銀河戦、将棋日本シリーズに続き全棋士、上位棋士参加の早指し棋戦全4つのうち3つ目を制覇。盤石の強さを見せつけ、年度内“グランドスラム”に王手をかけた。
現在五冠を保持し将棋界の頂点に君臨する藤井竜王が、2年ぶり4度目の朝日杯を手にした。決勝戦では、棋王戦コナミグループ杯五番勝負で対戦中の渡辺名人と対戦。振り駒で藤井竜王が先手番となると、後手の渡辺名人は角道を止めて雁木に組んだ。互いに攻め合い激しい展開になると、角交換を挑んだ藤井竜王のペースに。強く後手陣に角を打ち込むと、優位に立った。渡辺名人も角2枚を駆使しねじり合いに持ち込み簡単にリード拡大は許さない。しかし、最後まで冷静な指し回しを見せた藤井竜王が押し切り、待望の勝利を手にした。
2年ぶりの優勝を飾った藤井竜王は、「準決勝までの3局はいずれも負けを覚悟した局面もあったので、優勝できたのは幸運だったと感じています。秒読みの中でミスが出てしまう将棋が多かったので、そのあたりを課題ととらえてまた来期もっと良い内容にできるように取り組んでいけたらと思っています」とコメント。頂に立ってなお、課題を口にする場面もあった。
さらに、「自分が初めて優勝できた棋戦ということもあり、相性の良さも感じている。公開対局は貴重な機会なので、モチベーションになっています」と対局を見届けたファンに感謝の言葉も伝えていた。
この結果、藤井竜王は2022年度の一般棋戦全4つのうち、銀河戦、将棋日本シリーズ、朝日杯の3つを制覇。残るNHK杯でも準決勝進出を決めており、年度内“グランドスラム”も視野に捉えている。進行中のタイトル戦・棋王戦五番勝負でも連勝で初奪取と最年少六冠に王手をかけているだけに、年度内にどこまで記録を積み上げるか、ファンの注目と期待は高まるばかりだ。
◆朝日杯将棋オープン戦 持ち時間40分の早指し棋戦。一次予選、二次予選を勝ち抜いた棋士が、シード棋士を含めた計16人で本戦トーナメントを戦う。参加は全棋士、アマチュア10人、女流棋士3人で優勝賞金は750万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)