東日本大震災からまもなく12年。当時津波被害を受けた宮城県気仙沼に、復興ボランティアの拠点として始まった民宿がある。この民宿と女将が歩んだ震災からの日々がドキュメンタリー映画になった。
宮城県気仙沼市唐桑町・鮪立。遠洋マグロ漁で栄えた町だが、2011年、東日本大震災で大きな被害を受けた。
震災からの復興のために、この町に多くの震災ボランティアたちが訪れた。その拠点となったのが、牡蠣の養殖業を営む菅野和享さん・一代さん夫妻の自宅だ。
菅野さん夫妻の自宅は、津波被害で全壊判定を受けたが、活動拠点を探していた学生ボランティアの話を受け、二人は被災地ファンドを使って復旧し、開放することにした。
ボランティアたちと交流する日々で、一代さんの心境にはある変化が起きた。
「震災になってからたくさんの人たちに助けてもらった。その人たちと“一緒に生きていきたい”というか、そういう人たちと“離れたくない”、“思いを一つにしたい”」
一代さんは開放した自宅で民宿を始めることにした。こうして『唐桑御殿 つなかん』が誕生した。
再開した養殖業とともに、新たなスタートを切った一代さん。そんな彼女を襲った新たな悲劇、そしてコロナ禍。つなかんと一代さんが歩んだ震災からの日々が今回、ドキュメンタリー映画となった。
監督は、報道番組のディレクターとして一代さんの姿を撮り続けた風間研一さんだ。
「2012年に取材を始めた頃は、まさか、これほどまでに長く取材するとは思っていなかった。取材を続けてかなければと思い始めたのは、2015年ごろ。かつての学生ボランティアの移住者が増えてきたとき。つなかんを中心に、何か大きな変化が起きていると感じた」
ナレーションを務めた俳優の渡辺謙は、震災後、一代さんと交流を深めてきたという。
「一代さんも初めて気仙沼に伺った時から、11年ぐらい何回もお会いして、先に原稿と画を見せていただいたときに、不覚にも原稿に目を移せないぐらい感情を揺さぶられてしまった。一代さんが今まで、そしてこれから生きていく、いろんな道みたいなものが、たくさんの方々に共鳴するんじゃないかと思っている」
(『ABEMAヒルズ』より)
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