立ち技格闘技「K-1」の年間最大興行「K’FESTA.6」(12日、東京・国立代々木競技場第一体育館)第7試合女子アトム級タイトルマッチで、菅原美優がタイのパヤーフォン・アユタヤファイトジムを判定で下し、新女王に輝いた。
昨年6月に行われたK-1初の女子大会「K-1 RING OF VENUS」では、トーナメント決勝戦でパヤーフォンに敗れていた菅原。悲願のリベンジに成功し、これでKrushに続き、2つ目のベルトを獲得。試合直後に喜びの声を聞けるかと思いきや……さまざまな感情が入り交じった、彼女には珍しく“笑顔ほぼなし”のインタビューとなった。
■すべてにおいて実力不足だった
――タイトル奪取おめでとうございます。今の心境はいかがでしょうか。
菅原 うーん……試合終わってみて、「私に何もかも足りなかった」っていう感想です。
――前蹴りでパヤーフォン選手とうまく距離を取って、入ってきたところは組んでと、相手が得意とするインファイトを潰した戦法は素晴らしいなと思ったのですが。
菅原 そうですね。前に試合した時は、組んだ後の離れ際に打撃をもらっていたので、K-1でギリギリ許される「組み」の練習とか、脇を刺されたときの対策もしてたんですけど、誰が見ても「勝ち」っていう結果にはできなかったです。
――勝ち名乗りを受けた時、リング上で涙を見せていたのは、嬉しさと、そうした悔しさも理由にあったのでしょうか。
菅原 いろいろですね。個人的にはとりあえず「ほっとした」っていう、解放された気持ちが大きかったです。
――アトム級のチャンピオンになって、これからはベルトを守っていく立場になりますが、目標などありますか。
菅原 (同門で先輩の)KANAさんみたいに、相手をボコボコに倒せるぐらいになりたいと思いますし、もう一回パヤーフォンちゃんとやりたいですね。三度目の正直じゃないけど、もう一回試合する機会を作ってもらいたいです。ただ、やるからには要望した“理由”も見せなきゃダメで、三回やって三回ともこんな結末(僅差による判定決着)だったら、ファンの人もつまらないんで……まだまだ強くならないといけないと痛感しています。
■「一旦サウナで心を落ち着かせます」
――菅原さんが美容師兼業なのは知られていることで、「勝った翌日は会見などがあるから出勤しない、負けた翌日は普通に出勤」というルールがあったと思います。明日はお休みですか?
菅原 いや、すぐ練習します。Krushでチャンピオンになった時もそうだったんですけど、チャンピオンになってからは休んでいる暇はないんで。
――時折、趣味のサウナにでも行って休む時間も作ってください。
菅原 そうですね……。一旦サウナで心を落ち着かせます(笑)。ほっとしてからめちゃくちゃ練習します。
――格闘技観戦が息抜きにもなっていると話されていましたが、それも今は考えられない感じですか。
菅原 うん。完全に「練習したいモード」になってますね。いまの私じゃ、簡単にタイトルが取れる階級だと思われるんで、強くなるためには練習しかないです。まだ、私には伸びしろいっぱいっていうことで、気持ち的にはプラスに考えています。
――セコンドの城戸(康裕)さんからも「もっと練習だな」みたいに発破をかけられたんですか。
菅原 そこは特に言われていません。城戸さんは歳なのであんまり練習しないですし(笑)。いまは「質より量」の段階で、それを超えて「量より質」って言えるようになってくると思うんです。そこに進みたいっていう感じですね。
――同門のKANAさん、金子晃大さんがチャンピオンということで、練習するにあたっても励みにもなりますね。
菅原 そうなんですけど、同じベルトを持っているはずなのに、すごく実力の差を感じてます……まだまだ情けないから、必死でついていかないとダメですね。今度は圧倒して、笑顔で「やりました!」ってインタビューでも言える選手になりたいです。