【WBC・準決勝】日本代表6－5メキシコ（3月20日・日本時間21日／ローンデポ・パーク）
「ムネ、お前だぞ」。そんな意味を込めた指差しサインだ。レッドソックス・吉田正尚外野手が1点を追う9回、無死二塁で打席に入ると、制球に苦しむ相手を見透かすようにしっかりと四球を選んでチャンス拡大に成功した。すると直後、続く5番のヤクルト・村上宗隆内野手の方を向いて指差しサイン。今大会苦しんでいる日本の三冠王に対して、全く信頼して疑わない思いを送り、それが見事に復活のサヨナラ打を呼び込んだ。
吉田は2安打を放った後の7回、3点を追う場面で内角低めの変化球に対応し、ライトポール際に飛び込む一時同点の3ラン。今季からメジャーに挑戦するが、173センチの小さな体でも鍛え、さらに技術を高めれば十分にホームランが打てるということを証明して見せた。
1点差の9回、3番のエンゼルス・大谷翔平投手がツーベースで出塁。当然、相手バッテリーもホームランを打っている吉田に対しては警戒心が強まる。ならばピンチを拡大してでも、次の村上で勝負という意識を見透かしたように、際どい球も平然と見送り四球を選んだ。
すると、すぐに吉田が視線を送ったのは村上だ。今大会、何度もチャンスで凡退し、この試合も第1打席から3打席連続三振と不調の底にいるような状態だったが、後輩を信じて疑わない指差しサイン。これに気持ちを受け取ったのか、村上は初球からフルスイングすると、3球目をセンターフェンス直撃のサヨナラ打とした。
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