【WBC・決勝】日本代表3-2アメリカ(3月21日・日本時間22日/ローンデポ・パーク)

 野球日本代表(侍ジャパン)が第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で2009年の第2回大会以来、3大会・14年ぶり3度目の優勝を飾った。メジャーからは二刀流で活躍するエンゼルス・大谷翔平投手、NPBからは昨季の三冠王、ヤクルト・村上宗隆内野手らが集まり、栗山英樹監督のもと「史上最強」の呼び声高いメンバーとなった侍ジャパンだったが、2本の本塁打などでリードを奪うとメジャーのスター選手が集まった前回優勝・アメリカ代表の強力打線を豪華な投手リレーで封じて逃げ切り勝ち。今大会、1回も負けることなく全勝で優勝する“完全優勝”も達成した。激闘を制し日本に、そして世界に最強侍ジャパンの姿を見せつけた。

 侍ジャパンは先発DeNA・今永昇太投手が2回に先制ソロを許すも、直後の攻撃で村上が同点ソロ。さらにカージナルスのラーズ・ヌートバー外野手の内野ゴロの間に1点を勝ち越した。2番手・巨人・戸郷翔征投手がきっちり抑えて流れを作ると、4回には同じく巨人の岡本和真内野手がレフト越えのソロでリードを2点に広げた。投手はその後も豪華なリリーフ陣をどんどんと送り出し、8回にはパドレス・ダルビッシュ有投手、そして1点差の9回には大谷がDHからマウンドに上がり二刀流登板。歓喜の瞬間を迎えた。

 全てが順風満帆ではなかった。開幕直前、4番候補にも挙げられていたカブス・鈴木誠也外野手が脇腹を痛めて参加辞退。開幕後にも抑え候補だった広島・栗林良吏投手が離脱した。また内野の要、西武源田壮亮内野手も帰塁の際に右手小指を骨折したが、テーピングで固めて強行出場。抜群の守備で仲間を救い続けた。そして主砲・村上。準決勝でサヨナラ打を放ったものの、それまでの打率は2割を切り不振のどん底だった。それでも大谷がシーズン中では見せないほど感情を剥き出しでチームを鼓舞、さらにレッドソックス・吉田正尚外野手が突出した勝負強さで打点を重ね、戦うごとに最強の侍が刀を研ぎ続けた。

 真の世界一を決めようと始まったWBCで侍ジャパンは第1回、第2回と連覇したものの、第3回、第4回は準決勝の壁に跳ね返された。6年ぶりに開催された第5回。チーム最年長のダルビッシュが、キャプテンではなくても率先してチームをまとめる役割を務め、初の日系人選手として参加したヌートバーも、チームに今までない新たな活気を与え続けた。西武・山川穂高内野手はムードメーカーになり、ロッテ・佐々木朗希投手も剛球で沸かせた。そして大谷。世界を魅了した男が、子どものころに夢見たWBCの舞台で、投打二刀流を貫き躍動した。まだ中学生だった14年前、歓喜の瞬間に感動していた大谷は、また1つ夢を叶えて今その輪の中心にいる。
(C)Getty Images
 

【映像】侍ジャパン、準決勝・劇的サヨナラの瞬間
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