第2期・森保ジャパンの初陣となったキリンチャレンジカップ2023の2試合は、ウルグアイ戦が1-1の引き分け、コロンビア戦が1-2の敗戦という結果に終わった。
攻撃面では新たにビルドアップに挑戦するもうまくいったシーンはあまり見られず、前線の選手のボールタッチ回数は少なくなってしまった。結果としてシュート本数はウルグアイ戦が4本、コロンビア戦が5本と非常に少ないものになっている。
ワントップは依然として絶対的な存在がおらず、誰がレギュラーに定着していくのか全く読めない状況だ。今回の代表活動で前線のポジションで出場した3人を評価していく。
【映像】「クリロナみたいな」上田綺世 脅威のジャンプ力で強烈ヘディング2連発
少ない出場機会でインパクトを残す
上田綺世 ★★★★☆
上田は2試合とも途中出場ながら、3人の中で1番インパクトを残したと言える。
特にコロンビア戦の守田英正の左からのクロスに頭で合わせた決定的なシュートは非常に印象的だった。ほぼ、垂直跳びながら長身の相手に競り勝ったのは彼のすごさが伝わる場面だった。元日本代表MF北澤豪氏が「なんだ、今の!」と興奮したように、人々を驚かせる身体能力は彼の武器だ。それだけで呼ぶ価値があると思わせるようなシーンだった。
トップ下の久保とは相性が良さそうだ。CBと駆け引きをする上田、ディフェンスラインとボランチの間のスペースでボールを引き出す久保というように、縦関係ながらもお互いのプレーエリアをうまく分け合うことで、いい関係を築けているように見えた。次の代表活動では先発で2人を見られるだろうか。上田の代表初ゴールも近いうちに生まれるだろう。
多くの出番のなかでアピールに失敗…
浅野拓磨 ★☆☆☆☆
ウルグアイ戦は先発、コロンビア戦は途中出場で3人の中で1番プレータイムを得ることができたが、アピールできるようなプレーは全くと言っていいほどできなかった。スピードを生かした裏への抜け出しは相手ディフェンスの脅威になる有用なオプションではあるが、肝心の決定力が低いと言わざるを得ない。
クロスが上がる際にファーサイドにポジションを取ったシーンでは、槙野智章氏に「俊足の選手はニアでつぶれてほしいですね」と苦言を呈される一幕もあった。
FIFA ワールドカップ カタール 2022のドイツ戦のように、勝負所で結果を残せることは彼の長所ではあるものの、今回のような不甲斐ないプレーが続くようであれば、森保一監督も非情な決断を下さなければならない時が来るだろう。
とは言え、情状酌量の余地があるとすれば、所属クラブのボーフムではトップ下や右ウイングで試合に出ているためトップに慣れていないと言うことくらいだろうか。
先発のチャンスを生かしきれなかった
町野修斗 ★★☆☆☆
FIFA ワールドカップ カタール 2022では、中山雄太の負傷に伴い追加招集されたものの出場はなかったため、コロンビア戦の先発が久しぶりの代表戦の出場となった。悔しさを晴らす試合にしたかったが、結果はほろ苦いものとなってしまった。
三笘のゴールの起点となったロングボールを収めたシーンは良かったものの、残りの約40分は槙野智章氏が「後ろの選手が楽になる」と高く評価したハイプレスで爪痕を残すにとどまり、前半のみで交代となった。
ロングボールを収める役割を与えられていたはずだが、足元にうまく収まったのは前述のゴールにつながったシーンのみで、攻撃の停滞を引き起こす一因に。森保監督が町野を、前線で収める選手として考えていたとするならば、評価できるパフォーマンスではなかった。
上記の3人以外にも日本代表のワントップに推される選手は多い。今回は負傷の影響で出場することなく離脱した前田大然は、ワールドカップで見せた強烈なプレスで評価を高めており、クロアチアとの決勝トーナメント1回戦ではゴールを記録。それだけに今回の活動で出場できなかったのが非常に残念だ。
そのほかにも、古橋亨梧や小川航基など、今回の招集メンバーに入ってもおかしくなかった実力者を含めて“1枠”を巡る本命不在の争いはまだまだ続きそうだ。
(C)浦正弘(ABEMA/キリンチャレンジカップ2023)