これぞ“トホホ顔”?。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送された。大会初出場でリーダーを務める千田翔太七段(28)は、「抽選で3回も負けまして(笑)。当然のように想定通りのチームは組めなかったです」とドラフト初参戦の洗礼を受けていた。それでも結果的には、同門の兄弟子・西田拓也五段(31)と現在の最年少棋士・藤本渚四段(17)を獲得。「バランスのよいチームを作れたかな」とホッとした表情を見せた。
議場の魔物か神様か。将棋ソフト(AI)による緻密な研究で知られる千田七段が、最大1/3のくじ引きに大苦戦する結果となった。1巡目には、一番人気の増田康宏七段(25)獲りに参戦。これを外すと、再指名の近藤誠也七段(26)もくじ引きで逃すことに。3度目の正直で、同じ森信雄七段(71)門下の兄弟子でフィッシャールール経験者でもある西田五段をようやく獲得した。
さらに試練は2巡目指名にも。前回優勝チームから出口若武六段(27)を選んだものの、ここでも当たりくじは千田七段の手からすり抜ける。しかし、残り物には大きな福がある?2巡目再指名で、注目の現役最年少棋士・藤本四段の選出に成功した。
参加者の中でも最多、3回ものくじ引きに参戦することになった千田七段はグッタリ。「抽選で3回も負けまして(笑)。公式戦で反則はするわ、3回も負けるわで、ろくでもないことが続いているんですが…。それはさておき、3回抽選で負けましたので、当然のように想定どおりのチームは組めなかったです」とトホホ顔だった。それでも結果には満足しているようで、「兄弟子である西田五段を軸として、バランスのよいチームを作れたかなと思います」と頷いた。
「西田五段は粘り強く終盤でも一撃を狙う、非常に怖い振り飛車党ですね」。公式戦4戦で全敗と、兄弟子の強さは身を持って熟知している。「ABEMAトーナメントの前回の成績も(6勝3敗と)勝ち越しですし、西田五段はエース級であり軸であると思います」と心強い味方に信頼を寄せた。新鋭・藤本四段には「責任を感じるというか、ある種のリスクみたいなものはいろいろな意味ではらんでいると思っています」という。「棋風についてはまだわからないのですが、藤本四段とは研修会時代に指導対局で対戦したことがあります。飛車・香落ちで見事に負かされました。こちらも普通に強く指しましたがしっかり負かされて、『君は強くなる』と言って感想戦を終えたことを覚えています。そんな藤本さんが新四段になられたこともあって、公式戦もそうですがABEMAトーナメントでも大変期待しています」とデビュー前のエピソードを交えて印象を語った。
初出場とあり、まずは予選突破が目標。「チームメンバーに期待するというよりは、自分自身の調子と経験の差を埋めることに注力したい。私と新四段である藤本さんは初出場になりますから、いかに経験を積めるかが予選突破へのポイントだと思っております」。想定していなかった最高のメンバーと、想像以上の結果へ。最も注目を集めるチームとなることは間違いない。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)