将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送された。前回大会で本戦初戦敗退となった広瀬章人八段(36)は、これまでの団体戦3大会で渡辺明名人(38)率いるチーム渡辺のエース・近藤誠也七段(26)を指名。さらに、2巡目では第3回大会でチーム渡辺のメンバーとして出場した石井健太郎六段(30)を獲得と、“トレース”とも言えるチーム構成となった。広瀬八段としては「予想外」のチーム結成だったというが、「予想外のことが起こるのがドラフト」と満足気に語った。
数々の重複指名で波乱の展開となった今期のドラフト会議。広瀬八段も例外ではなく、今回の会議をたっぷりと楽しんだリーダーの一人だ。1巡目の“初手”では伊藤匠五段(20)を指名したが、抽選はハズレ。再指名では、これまでの団体戦3大会で渡辺名人から連続指名を受け、チームのエースとして戦った近藤七段獲得に名乗りを上げた。これまでの実績から、重複はもちろん覚悟の上。糸谷哲郎八段(34)、千田翔太七段(28)とのくじ引き合戦の末に当たりを引いた。「今回は渡辺名人が指名しなくて、自分も1巡目は指名が重複してダメだったので、近藤さんに行くのは自然な流れだったかなと」。エース級の獲得にホッとした表情を見せた。
続く2巡目では、渡辺名人、近藤七段と同じ所司和晴七段(61)門下の石井六段を指名。「近藤七段が何らかの形で取れたら石井六段にしようかなと思っていましたが、それが本当に実現するのは予想外ではありました。でも予想外のことが起こるのがドラフト。いろいろなパターンを準備しておいた中での1つでした」と、プランX結成を喜んだ。
両者とは、「年に1回、2人と一緒に仕事をする機会がある」と謎の交流があるという。新たに開設されたチームTwitterでも「年に1回の仕事の内容については…今後明かされていくと思うのでよろしくお願いいたします」と投稿されており、その全容にも注目が集まっている。
広瀬八段は団体戦として開催された過去3大会で16勝6敗、勝率72.7%と全出場者の中で最高勝率を誇るだけに、今期の活躍にも大きな期待が寄せられている。「このルールに慣れているか、適性があるかのどちらかを満たしている人が上位にいる。自分自身はムラがありますが、このルールだと勝てることが多い気がします」と自信も口にする。全員がフィッシャールール経験者と予選突破、本戦でも上位進出の有力候補のチーム広瀬。「まずは予選突破。2人も新しいチームに入ったことになると思うので、ちょっとずつ絆を深めながら、チームワークを高めていきながら勝ち上がっていきたいです」と静かに目標を語った。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)