こうした実態を踏まえて、専門家は“隠れ教育費”の問題点や課題をどう見ているのだろうか。
共著に『隠れ教育費:公立小中学校でかかるお金を徹底検証』があり、学校費用の在り方を提言している福嶋尚子氏(千葉工業大学工学部教育センター准教授)は、「隠れ教育費とは学校にかかる保護者負担のこと。なぜ“隠れ”と言うのか? 何度も支払ったり、学校や地元の文具店、衣料品店に支払ったりと、払い先や払い方が分散しているため総額でいくら払っているのかわからないという意味で、そう呼んでいる」と説明する。
福嶋氏によれば、「高校に関していえば、無償になっているのは授業料部分だけで、しかもそこに所得制限がかかっている。全ての人が無償というわけではない。実は授業にかかるお金や入学金以外にかなりの費用がかかっている」とのことで、紙屋氏の例で出た総額約30万円という“隠れ教育費”は一般的な金額だという。
元NTTドコモ、自民党副幹事長の小林史明衆議院議員は「この議論が出てきて、解決すべき問題は何か、その根本的な要因は、国が決めても都道府県や市町村に詳細を決める権限があることだ」と指摘。
「隠れ教育費は県や市町村によって違う。国民に提供すべき教育サービスは、国がここまでは無料だと決めて、工夫するところはそこから上だと整理すべき。これから新しい政策、例えば子育ての負担を下げていこう、クーポンを配ろうと言っても結局、県や市町村でバラバラだと、全国民が受けられるはずのサービスが受けられないことになる。だからこそ、国と自治体がバラバラな現状を整理するのが最も重要だ」と論点をあげる。
福嶋氏は「お金を何に使っているか、無償にする価値のあるものがどれだけ残っているかわからない。本当に子どものためになっているのか、子どもの権利を満たすものなのか、今後見直していく必要がある」と指摘した。(「ABEMA Prime」)
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