授業料と別で総額30万円? 「隠れ教育費」の驚くべき実態 かさむ保護者負担に無償化はどこまで必要?
【映像】隠れ教育費の実態
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 参議院決算委員会で3日、共産党の吉良よし子参議院議員が「憲法第26条には義務教育は無償。しかしいまだに給食費の負担をはじめ完全な無償にはなっていない」と指摘。これに対して岸田総理大臣は「学校給食費の無償化に向けて課題の整理を行う」と答弁した。

【映像】合格日に知らされる隠れ教育費

 今、国会でも議論になっている義務教育の無償化だが、見えない部分の費用負担が重いと訴える人もいる。それが「隠れ教育費」だ。

 公立小学校の例では、制服、体操服、上履き、修学旅行や遠足の積み立て金、運動会など行事の費用、PTA会費など様々な出費があり、文部科学省の調査によると、合計で約6万6000円、これに給食費の約4万円を加えると年間10万円を超える出費になる。これが中学校では約17万円、高校では教育費だけで約31万円と増えていく。

 Twitterでは、「学校指定の体操服とかシューズとか高すぎる」、「せめて義務教育の制服と給食は無償にして」、「PTAとか親の無償労働も負担の一つだよな」といった声もあがる。

 隠れ教育費の実態は? そして、どこまで無償にし、どこを保護者負担とするべきなのか。「ABEMA Prime」では当事者と専門家を招き、ともに考えた。

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 授業料が実質無償化された高校でも同様の問題が起きているという。

 4月に娘が公立高校へ入学したという書評サイト「紙屋研究所」管理人の紙屋高雪氏は「入学金として合計で25万7990円。これを3月と4月に払ってくださいと言われた」と語る。しかも、事前に知らされたのはごく一部で、詳しい内訳は後になって知らされ、その負担費用に驚愕したという。

 紙屋氏の支払い明細の内訳(下図を参照)を見ていくと、「制服・体操着・靴等」9万3640円、「教科書・学習物品費等」7万5350円、23項目にわたる「学校教育活動費」5万890円、「同窓会終身会費」1万7400円、「校納金」1万4160円、「入学料」5550円、「PTA入会金」1000円といった具合で、しめて合計25万7990円。このように、さまざまな費用がかかるのが実態だ。

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 紙屋氏が「無償化と聞いていたので、中学校までの費用感覚ではこれほど用意しなくていいと思っていた。それが高校でいきなり25万となり、ちょっと大変だなとびっくりした」というのも無理はない。

 とりわけ「一番驚いた」というのは学校教育活動費について。「例えば、地区高等学校生徒指導協議会費の内容を見ると、生徒指導についての研究や調査をする団体の会費と書いてある。内容がよくわからないのに合格した日に“この会費を払ってください”と言われる。県立高校学校保健会費も一体何の会費なのか、冊子を読んでもさっぱりわからなかった」と語る。

 「支払い明細の費用については最初に説明があり、合格日に“すぐ入学金を払ってください”と言われる。このお金が必要なのかわからないけれど、払わないと合格が取り消されてしまうかもと思ってしまう。だから、すぐ全額を払わないといけないと思うのが常識ではないか」と紙屋氏は実感したという。

 そんな紙屋氏は、給食費も含めた無償化の範囲について、次のように考えているという。

「例えば、実際に高校では教科書代がかなりかかる。小中学校には教科書代がない。一方、小中学校で親が一番困っているのは教材費の私費負担だ。給食も教育だと考えた時に、給食と教科書代・教材費・授業料を無償にすることは、社会合意としてすぐ行えることではないか。さらに制服などをなくせば、かなりの負担が削減できる」

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 こうした実態を踏まえて、専門家は“隠れ教育費”の問題点や課題をどう見ているのだろうか。

 共著に『隠れ教育費:公立小中学校でかかるお金を徹底検証』があり、学校費用の在り方を提言している福嶋尚子氏(千葉工業大学工学部教育センター准教授)は、「隠れ教育費とは学校にかかる保護者負担のこと。なぜ“隠れ”と言うのか? 何度も支払ったり、学校や地元の文具店、衣料品店に支払ったりと、払い先や払い方が分散しているため総額でいくら払っているのかわからないという意味で、そう呼んでいる」と説明する。

 福嶋氏によれば、「高校に関していえば、無償になっているのは授業料部分だけで、しかもそこに所得制限がかかっている。全ての人が無償というわけではない。実は授業にかかるお金や入学金以外にかなりの費用がかかっている」とのことで、紙屋氏の例で出た総額約30万円という“隠れ教育費”は一般的な金額だという。

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 元NTTドコモ、自民党副幹事長の小林史明衆議院議員は「この議論が出てきて、解決すべき問題は何か、その根本的な要因は、国が決めても都道府県や市町村に詳細を決める権限があることだ」と指摘。

 「隠れ教育費は県や市町村によって違う。国民に提供すべき教育サービスは、国がここまでは無料だと決めて、工夫するところはそこから上だと整理すべき。これから新しい政策、例えば子育ての負担を下げていこう、クーポンを配ろうと言っても結局、県や市町村でバラバラだと、全国民が受けられるはずのサービスが受けられないことになる。だからこそ、国と自治体がバラバラな現状を整理するのが最も重要だ」と論点をあげる。

 福嶋氏は「お金を何に使っているか、無償にする価値のあるものがどれだけ残っているかわからない。本当に子どものためになっているのか、子どもの権利を満たすものなのか、今後見直していく必要がある」と指摘した。(「ABEMA Prime」)

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