将棋の藤井聡太叡王(竜王、王位、棋王、王将、棋聖、20)が4月11日、第8期叡王戦五番勝負の第1局で挑戦者の菅井竜也八段(30)に勝利し、防衛に向けて白星発進を遂げた。3連覇を目指す藤井叡王と、叡王初獲得と6期ぶりのタイトル奪取を狙う振り飛車党の菅井八段が激突する注目のシリーズ。第2局は4月23日、愛知県名古屋市の「名古屋東急ホテル」で行われる。
藤井叡王が、3連覇に向けて好発進を遂げた。本局は、六冠保持者として年間を通じてタイトル戦の重要対局をこなす藤井叡王が、タイトル戦で初めて振り飛車党と激突する注目のシリーズ開幕局。先手居飛車、後手三間飛車の対抗形の出だしから、菅井八段が先手に9筋の位を取らせてから角道を止め、早々に前例を離れ力勝負へと展開した。
難解な中盤戦では、右辺で激しい攻防戦が繰り広げられる中でわずかに先手のペースに。持ち時間をたっぷりと消費する中で、藤井叡王は意表の飛車寄りの一着を見せた。ここから藤井叡王は、緩急自在の指し回しで攻守の手を繰り出しリードを拡大。持ち時間が少ない中でも冷静に正確な手を重ねていった。菅井八段も渾身の勝負手を連発し粘りを見せていたが、差を埋めるには至らず。藤井叡王は強気の受けと攻めを組み合わせて着実にポイントを積み重ね、嬉しい先勝を手にした。
中盤で厚みを築いて快勝を飾った藤井叡王は、「序中盤は苦心したところが多かったが、終盤は攻めを受け止める形になって、そのあたりで少しずつ指しやすくなったかなと思う。タイトル戦以外でも対抗系の将棋もいろりいろ指しているので、これまでと違ったところは無かったが、シリーズは今後も続いていくので本局の内容を踏まえて戦っていけたらと思います」と一局を総括。黒星発進となった菅井八段は「中盤の重要な局面で自分の方が正確性がなかったので、そのあたりを反省したいなと思います」とコメントした。
この結果、藤井叡王は六冠堅守へ3連覇のかかる叡王戦開幕局を白星発進。短期決戦の五番勝負で幸先良く白星を飾った。現在、藤井叡王は第81期名人戦七番勝負に挑戦中でダブルタイトル戦の期間に突入。4月5・6日の両日に行われた名人戦第1局でも先勝を飾っており、最年少名人位と七冠獲得にも大きな注目が寄せられている。しかし、どちらも開幕局を終えたばかり。持ち時間やタイプの違うトップ棋士と今後もどのような戦いを繰り広げるか、引き続き大きな注目を集めることになりそうだ。
叡王戦五番勝負第2局は4月23日、藤井叡王の地元・愛知県は名古屋市の「名古屋東急ホテル」に舞台を移す。藤井叡王は「時間配分を含めて、より良くできるように頑張りたいと思います」、次局で先手番となる菅井八段は「精一杯頑張りたいと思います」と意気込みを語った。
(ABEMA/将棋チャンネルより)