藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)のことなら、なんでも知っている。そんなことさえ感じさせるような、不意のひと言だった。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」予選Aリーグ第1試合、チーム永瀬とチーム豊島の対戦が4月15日に放送されたが、第3局の様子を見ていた永瀬拓矢王座(30)が、符号をすらすら。単に対局について語るだけでなく、藤井竜王が指した一局の類型だと指摘したことで、ファンが仰天することになった。
藤井竜王がデビュー間もないころから研究パートナーとなり、盤上の藤井竜王については最も詳しいと言っても過言ではない永瀬王座だが、その知識の豊富さには驚きだ。第3局はチーム永瀬が本田奎五段(25)、チーム豊島が木村一基九段(49)という対戦。本田五段の先手番から、角換わりの序盤になった。
すると唐突に永瀬王座は「そうか。▲6七銀、△4四歩、▲5六歩、△6五歩、▲同歩、△3五歩」と符号を連呼。この手順にチームメイトの増田康宏七段(25)が「へー、そんなのあるんですか」と反応した。すると永瀬王座はすかさず「なんか藤井-木村の席上対局の類型」と説明。どうやら公式戦ではなく、藤井竜王と木村九段が指した非公式戦に似た形が出たようだ。これに増田七段が「へー。いつの席上対局ですか」と質問すると、永瀬王座は、さらっと「5年前くらい」とにっこりした。
公式戦はもちろんのこと、VS(1対1での練習対局)などでも藤井竜王の指す将棋を何度も見てきた永瀬王座だが、その他の対局までしっかりチェックしていることがわかるひとコマにファンからは「棋士の記憶力やば」「すぐ出てくるのすげえな」「どんな記憶力だよ」と驚きの声が止まらなかった。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)