将棋の第8期叡王戦五番勝負第2局が4月23日、愛知県名古屋市の「名古屋東急ホテル」で行われ、叡王初奪取を目指す挑戦者の菅井竜也八段(31)が藤井聡太叡王(竜王、王位、棋王、王将、棋聖、20)に115手で勝利した。1局指せば、体重が2~3キロは落ちると言われるプロの将棋。絶対王者・藤井叡王からシリーズ1勝目をもぎ取った菅井八段もエネルギー補給のためか、盤側に用意されたチョコ菓子を頬張る様子が見られ、険しい表情とのギャップが話題となった。
藤井叡王にとって、タイトル戦で初めて振り飛車党との対戦となった今期のシリーズ。開幕局では堅陣を活かして快勝を飾ったが、第2局では自ら「完敗だった」と振り返ったほど手痛い黒星を喫した。本局は、菅井八段の先手で「想定していた戦型」という三間飛車の出だしから、相穴熊に。後手の藤井叡王は自陣を囲いきる前に積極的な動きを見せ、菅井八段は「序盤で藤井さんの方に工夫される手を指されて、そこから研究は外れてしまった」と語ったが、柔軟な角引きで対応してペースを握った。決断良く指し進めていく菅井八段に対し、藤井叡王は持ち時間を大量に投入。反撃のチャンスを伺ったが、陣形の差から攻めを繰り出せずにいた。対する菅井八段は角を自在に操り優勢を拡大。藤井叡王の必死の粘りを振り切り、一度もリードを奪われることなく圧倒した。
1日の対局で、体重が数キロ減るとも言われるプロの将棋は時に「頭脳スポーツ」とも表現されるが、体を動かすスポーツ並みにエネルギー消耗は激しい。本五番勝負は8つのタイトル戦の中では最短の各4時間で争われるが、叡王位をかけて戦う頂上決戦とあり、心技体のすべてを投入して挑むにはずば抜けた「将棋体力」が必要となってくる。
快勝を飾った菅井八段の側には、“影の主役”の姿が。叡王戦は菓子メーカーの「不二家」が主催とあり、予選からタイトルをかけた番勝負まで、対局中の栄養補給やリフレッシュのために同社の菓子が棋士の脇に置かれている。本五番勝負では「カントリーマアム チョコまみれ」「同 じわるバター」「ホームパイ チョコだらけ」が用意された。
また常備の菓子とは別に、午前・午後のおやつも完備。今期も不二家の美味しい&かわいいおやつが話題を呼んでいる。菅井八段もおやつを複数種類オーダーするなど、美味しいおやつでパワーチャージを図ったようが、六冠保持者の若き絶対王者に挑むためには“プラスα”が必要だったか、盤側の「チョコまみれ」をパクパク。菅井八段は、「普段対局中には食べないんですけど、めちゃくちゃ美味しくて。終盤、お腹が減ってきたので今日はたくさん食べた気がします」と笑顔で振り返っていた。
「チョコまみれ」は、カントリーマアム発売35周年をきっかけに誕生したクッキー。ココアを練り込んだ生地に大量のチョコチップを加え、外側をミルクチョコでコーティングした“チョコにまみれた”商品だ。パッケージに描かれた「まみれさん」という謎のキャラクターも人気で、対局を「ぬう~ん」と見守る姿に、視聴者からは「めっちゃ気になる」の声も。さらに険しい表情ながら、あまりのおいしさに手が止まらなくなったか何個も口に運ぶ姿に「菅井先生がまみれまみれになってる」「めっちゃ食べたくなってきたw」のコメントも上がっていた。
この結果で、番勝負は1勝1敗のタイに。次戦の勝利で叡王位の初奪取に王手がかかるが、菅井八段は「勝敗を考えても仕方がないので、一番は自分の力を発揮する準備をすることだと思っています」とあくまで冷静だ。「振り飛車が好きなファンの方が多いですが、今は振り飛車党の棋士は少ない。こういった大舞台で、振り飛車で活躍していけたらなと思っています」と熱い思いを込めた。注目の第3局は5月6日、名古屋市内の料亭「か茂免」で指される。
(ABEMA/将棋チャンネルより)