平素であれば迷わずアガって終わり。しかしチーム事情がそれを許さなかった。プロ麻雀リーグ「朝日新聞Mリーグ2022-23」セミファイナルシリーズ、4月24日の第2試合。オーラスでツモアガリとなる牌を引いたラス目の雀士が、このままアガって3着を受け入れるか、手を作り直してあくまでトップ狙いか、究極の選択を迫られ大長考となる場面があった。
場面は南4局、ラス目のKADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾(協会)は3着目のKONAMI麻雀格闘倶楽部・伊達朱里紗(連盟)とわずか900点差。トップのTEAM雷電・黒沢咲(連盟)とは1万6000点差があり、跳満を直撃か、倍満をツモればトップになれるという状況。堀は配牌に4枚あった白をカン。トップを狙うための手作りへと進む。7巡目に伊達からリーチが入り、堀もこの同巡にテンパイするも、待ちは9索と3筒のシャンポン。この段階ではリーチをしても白とドラ1があるだけで、目指す条件には程遠い。堀は一旦このシャンポンのままダマテンとした。
その直後、堀のツモは9索、ツモ・白・ドラで、カンがあるため符がハネて満貫だ。伊達はかわすが3着で終了となる。この時点でチームのスコアはライバル5チームから大きく離された6位。残り試合数を考えると、是が非でもトップを取りたい。ここで堀は荒々しい呼吸と共に大長考。解説の朝倉康心(最高位戦)も「チーム状況が(ポイントが)もっとあればアガっていると思うんですよこれで」と堀の思考を説明した。実況の日吉辰哉(連盟)が「『やっぱりツモ』もありますよね?」と朝倉へ問うと、朝倉は「あります!全然恥ずかしいことじゃないです」と答えた。
リーチをしなかった以上、このアガリは拒否して高目を目指すのか、それとも3着を受け入れるか。悩みに悩み、時間を使うこと1分20秒ほど、堀は決断の打3筒としてアガリを拒否し、あくまでトップを目指すルートへ進んだ。この選択に視聴者からは「かっこええ!」「運命のルーレットがどうなる?」「いい方向にいけ!」「チーム状況を踏まえたか」など様々な声が寄せられた。
堀はその後、7索を引いて4・7・5・8索待ちの混一色でリーチ。ツモればリーチ・ツモ・混一色・白・ドラ2で倍満確定だ。視聴者は「きた!いけぇー!!」「リーチや!!」「さぁこい!!」と大興奮。伊達、そして堀のツモ牌に視線を注いだ。
結果は惜しくも流局。堀はラスのままで試合を終えたが、短期決戦ならではのハイリスク・ハイリターンの決断に見る者は熱狂、最後まで試合を堪能した。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019-20シーズンから全8チームに。各チーム4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム94試合(全188試合)。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各20試合・全30試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(16試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)








