将棋界の“忍者ハットリくん”が本領を発揮した。早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」予選Aリーグ第3試合、チーム豊島とチーム稲葉の対戦が4月29日に放送された。チーム稲葉のエース・服部慎一郎六段(23)が池永天志五段(30)との一戦に逆転勝利。攻めと受けの絶妙なバランス感覚でしのぎきり、解説者からは「これは忍者じゃないとしのげない」と驚きの声が上がった。
服部六段は前回大会でチームの勝ち頭として大活躍。公式戦でも高勝率をマークする新鋭だ。その名前と独創性のある棋風から自らも「忍者」と名乗り、文字通り将棋界の“忍者ハットリくん”として人気を誇る。今大会でもその存在感を示したのが、第5局の池永五段戦だった。
3勝1敗と劣勢に立たされたチームに流れを引き戻すべく、服部六段は「自分らしくのびのびと頑張りたいと思います!」と元気よく対局へと向かった。関西所属の両者とあり、解説の村田顕弘六段(36)からは「よく棋士室で将棋を指しているところを見かけます」。手の内を知り尽くしている両者の戦いは、池永五段の先手で矢倉の出だしとなった。
強気な指し回しで小競り合いが続いた中、中盤で抜け出したのは池永五段。スマッシュを決めるチャンスが巡ってきたかと思われたが、服部六段が受けと攻めの絶妙な指し回しを見せ、気付けば後手ペースに。村田六段からは「これをしのぐっていうのは忍者じゃないとできないですよ」と驚きの声が上がった。さらに、「どこで抜け出したかは難しいが、池永五段にこれだけ攻められて逃げ切る、しのぎきるのは難しいと思ったが、攻め合いと受け切りの両天秤をうまく見極めてよくしのいだな、という印象」とコメントしていた。
悪い流れを断ち切る一勝に「ここで勝つのと負けるのでは全然違う。この1勝は大きい」と声を弾ませた服部六段。圧巻の逆転術に、ファンも大興奮の様子「得意のしのぎきたか!」「しのぎしのぎ」「忍者チャンス」「村田先生のしれっとジョークワロタ」「忍者しか勝たん」と多くのコメントで埋め尽くされていた。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)







