師匠の魂はしっかりと弟子に継承されていたようだ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」予選Bリーグ第1試合が5月6日に放送された。Bリーグ開幕戦は、チーム羽生・伊藤匠六段(20)とチーム山崎・佐々木大地七段(27)の対戦に。新進気鋭の伊藤六段がリードを奪い一気に突き放すかと思われた局面で、佐々木七段の根性の一手を炸裂させた。この一着に、控室からは「師匠の魂が乗り移った…?」。佐々木七段の師匠・深浦康市九段(51)のまさかの“登場”に、ファンからもざわめきの声が上がっていた。
今期のABEMAトーナメントは、早くもBリーグが開幕。第1局では、公式戦、ABEMAトーナメントでも高い勝率を誇る若手実力者の伊藤六段と、自身初のタイトル挑戦権を獲得したことでも注目の佐々木七段が激突した。ともに関東所属で、研究会を開催する仲の両者。本局は、佐々木七段の先手で相掛かりの出だしとなった。後手の伊藤六段は、持ち時間をほとんど使わない超スピードで指し進めて先手を圧倒。ぐいぐいとリードを拡大させていった。
持ち時間を削られる展開となった佐々木七段は、やや劣勢の中で▲9五歩。この一手に、チーム山崎の控室ではリーダーの山崎隆之八段(42)が「ひねり出したって感じですね」とコメント。チームメイトの中村太地八段(34)とともに、「深浦先生の魂が乗り移ったかのような手ですね!」と印象を語っていた。
将棋界きっての仲の良さで知られる深浦九段&佐々木七段の師弟とあり、指し手の中からも師匠の存在を伺わせる一着にファンもザワザワ。「魂ww」「師匠登場ww」「深浦先生謎の被弾w」「地球代表の魂、強そうww」「ししょーー!!」と多数の反応でコメント欄が埋め尽くされていた。
解説を務めた阿久津主税八段(40)も「9五歩は佐々木さんが力を見せた一手。こんなに忙しい中で視野が広い」とハッとする一手を称賛していたが、伊藤六段は冷静に対応。リードを奪ってからは、佐々木七段の粘りを許さない鋭い寄せを見せて勝利を飾った。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)