「もうちょっと応援してあげて」藤浪晋太郎、バッシングや誹謗中傷を160キロの荒れ球でねじ伏せろ！球界OBからも応援の声

5月12日（日本時間13日）にオークランド・コロシアムで行われたオークランド・アスレチックス対テキサス・レンジャーズの一戦で、アスレチックスの藤浪晋太郎が2回1/3を無失点で切り抜ける好投を見せた。

【映像】藤浪、メジャー初勝利の瞬間！

この試合、5-5で延長へと入り、2点を奪われ、5-7と2点のビハインドとなった10回表1死一、二塁の場面での登板となった藤浪は、回の頭からではない、走者を背負ってのマウンドとなったものの、落ち着いた投球を見せ、まず2番ロビー・グロスマンをカウント1-2から外角高め、154km/hのストレートで見逃しの三振に。2死死一、二塁とすると、続く3番ネート・ローへは3-2まで追い込むも、内角低めへのカットボールを見られて満塁に。
しかしここで崩れることなく、4番ジョシュ・ヤンに対しては内角高め153km/hのストレートでファウルを打たせると、2球目はほぼ真ん中の154km/hのストレートをヤンが見送り、カウント0-2に。最後は外角低め、ややボール気味に投じたカットボールでライトライナーに打ち取った。なおその後、10回裏の攻撃で、アスレチックスはタイムリーと逆転ホームランが飛び出し、劇的なサヨナラゲームとなり、藤浪はうれしいMLB初白星を挙げることとなった。
　
今季、藤浪は開幕当初は先発として起用されたものの、もともと課題であった制球に苦しむ場面だけでなく、捕手との「息」という意味でも、しっくりときていない様子を垣間見せるなど、今ひとつの状態となっていたため、リリーフへと配置転換に。しかしその後、リリーフでも一試合ごとの波が大きい内容であったことから、激賞とバッシングが極端なことで知られる現地メディアはもちろんのこと、日本のメディアで批判的な報道が目立っていた。しかし、そうした中でもアスレチックスのマーク・コッツェイ監督は、乱調でも見守る姿勢を貫き、藤浪の「場慣れ」という意味を含め、再び先発へ戻すことを想定した起用をしていることが、その采配や談話から見てとれる。

というのも、今季のアスレチックスは開幕直後から既に事実上、“投壊”状態となっており、それに加え、打撃陣も今ひとつとあって、もはや藤浪云々というレベルではないチーム状態となっているのが実情だ。つまり、仮に藤浪が好投していたとしても、ほとんど援護が受けられず、「なおエ」ならぬ「なおア」となりかねないという状況なのである。そうした中で、本来ならば先発・完投できる体力もあり、パワーピッチができるという藤浪は、出だしで少しぐらい躓いたとしても、指揮官にとっては今後のシーズンを戦う上で、先発への復帰を想定した「貴重な戦力」であることは間違いないだろう。

こうした藤浪の“初勝利”と投球内容に、野球解説者の落合博満氏は、5月14日に放送されたTBS系「サンデーモーニング」で「勝ちは大事ですよ。これでエンジンがかからなかったら、本当にダメですね。やってくれると思いますよ」と、今回の初勝利が藤浪を勢いづける可能性について示唆するとともに、「あとはどこで先発に戻すかですよ。まあ、厳しいようなところもありますがね。」と、課題はあるものの、先発復帰を想定した形でコメント。また、阪神タイガースで活躍した下柳剛氏は自身のYouTubeチャンネル「柳に風」に5月15日で投稿した動画の中で、藤浪に対して「一言言いたいんだけどさ、そこまで叩く権利がある人達がどこにいる？と思う。彼は彼なりに一生懸命頑張ってるし、一旦調子悪くなって去年少し良くなってきたかなっていうところでアメリカ挑戦して、環境も変わってボールも変わって今、苦労してるけど、もうちょっと応援してあげようよ。」と、不慣れな環境で試行錯誤し続けている藤浪をあたたかく見守って欲しいと訴える形でコメントした。

今回の初勝利を受け、藤浪自身の中でどのような変化が起きるのか、また、指揮官が藤浪をどのように起用していくのかは定かではないが、少なくとも、藤浪が手にした1勝は、チームにとっても自身にとっても大きな1勝であったといえるだろう。

（ABEMA『SPORTSチャンネル』）