「安心してください、はいてますよ」というフレーズがヨーロッパを席巻した直後だけに、インパクトも大きかった。世界最大にして最高峰の自転車レース「ツール・ド・フランス」のコース上に突如、白ブリーフ一枚の熱狂的な“パンイチ”男性が登場。突然のできごとに「白パンw」「はいてるからセーフw」など、ファンが騒然となる一幕があった。
【映像】突如、コース上に“白パン”姿の男性ファン(2時間58分ごろ)
問題のシーンはツール・ド・フランス第2ステージの残り20㎞地点で起こった。先頭集団が第2ステージのクライマックスに向けて険しい上りでデッドヒートを繰り広げる中、突如、パンイチの熱狂的ファンが国際映像に登場。先頭集団にアツい声援を送った。
その姿は、お笑い芸人のとにかく明るい安村がイギリスの人気オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」で披露した活躍、そしてあの有名なセリフ「安心してください、はいてますよ」を彷彿させた。
ツールはこれまでも、様々なコスチュームの観客が登場してきた。全身タイツにスーパーヒーロー、時にはセクシーV字水着だけの、いろいろギリギリな男性までも。中でも有名なのは「悪魔おじさん」と呼ばれる、その名の通り悪魔の恰好をしたドイツ人のおじさんだ。中継で路上に三又の槍の絵が描かれているのを見つけたら、その先に悪魔おじさんが待機。そして選手が通り過ぎる際は、「ヤー! ヤー! ヤー!」と、槍をかざして飛び跳ねている。ただそれだけなのだが、毎年、国際映像に映るようになると、それを真似たコスプレをする観客も出てきたし、さいたま市で毎年開かれているツールのイベントには、その年のツール総合上位陣と共に悪魔おじさんまでも招待。選手さながらに日本人ファンに囲まれ、当の悪魔おじさんもその人気ぶりに驚いたほどであった。
ツールの観戦は、ただ選手を見るというだけではない。選手は一瞬にして通り過ぎるので、レース展開を知るなら家でテレビを観ていたほうがいいぐらいだ。でもあれだけの観客が沿道を埋め尽くすのは、自転車ロードレースは文化であって、特にツールは夏祭りのようなものだからだ。コースに設定された街はツールをモチーフにした飾りで選手の通過を大歓迎しているし、バカンスに入っている人ならキャンピングカーで何日も前から沿道に待機して、自身はトレッキングやMTBなどの趣味に興じてツールが来るのを待っている。沿道の観客も、一緒にツールを楽しもうという精神で、少々過激なコスプレも出てくるようだ。
沿道にピクニックテーブルを出し、選手の通過をのんびりと待っているフランス人のように、ツール中継を観る際は、通過する街にちなんだビールやワイン、名物などを用意し、ヨーロッパスタイルの文化を学ぶ。この歴史がある壮大なレースの楽しみ方は多様なのだ。
ともあれ、突然国際映像に登場したパンイチ男性に対して、レースを中継したABEMA視聴者からは「白パンw」「はいてるからセーフw」などの反響が多数寄せられた。(ABEMA『SPORTSチャンネル』)