死の一歩手前まで…「一生、魚を食べられない可能性がある」男性に話を聞く 日本人が特に注意すべき“アニサキスアレルギー”の危険性とは?
【映像】食の楽しみを失った アニサキスアレルギー発症者の食事
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 夏が近づき食中毒が増加する季節となるなか、食中毒を引き起こすことで知られるアニサキスが“アレルギーの原因にもなる”として注目されている。「一生魚を食べられない可能性がある」という男性に話を聞いた。

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「あらゆる魚介類が食べられない。生でも焼いても煮ても、出汁も含めてダメになった」

 ある日を境に、突然魚介類を食べられなくなったと話すのは、広告や食に関する本を執筆するコミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之氏だ。

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「アニサキスアレルギーよるアナフィラキシーショックで、死ぬ間際までいったのは5年前の3月。それまで花粉症を含めアレルギーには1回もなったことがなく、いわゆる“アレルギー体質”ではなかったが、ある夜のイタリアンで『サバのマリネ』を食べたことがきっかけでアレルギーになってしまった」

 命の危険が迫る経験をした佐藤氏は、それ以降、大好きだった魚はもちろん、魚の出汁やエキスを使った調味料や加工食品などあらゆる食べものを制限する生活に。

「3年ぐらい完全除去の生活で外食はほぼ無理になった。僕と一緒に行くと魚が食べられなくなるので、友人との旅もできない。今までの生活から考えると地獄のようなことを始めた」

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 IgE抗体(=アレルギーを引き起こす抗体)の量を減らすために徹底した食事制限をしたものの、大きな変化はみられなかったそうだ。食の楽しみを失った佐藤氏は、多くの人にアニサキスアレルギーの知識を共有するため、アニサキスアレルギー協会を設立した。

「同じ苦しみを持っている人がいると知るだけでも楽になる人がいるのではないかと思った。もう一つの理由は、日本では研究があまりにも進んでいないことだ。アニサキスアレルギーが知られていくことで、新しい知識や研究が進むかもしれない。地道に活動していこうと思っている」

 青魚やイカなどに寄生し、生きたまま体内に入ると猛烈な腹痛や吐き気を起こすことで知られる「アニサキス」。これまで500例以上のアニサキスアレルギーの患者をみてきた、昭和大学病院の鈴木慎太郎医師は「一度発症すると厄介なアレルギーだ」と警鐘を鳴らす。

「アニサキスそのものだけではなく、タンパク質の分子レベルのアレルゲンが入っていてもアレルギーになってしまったり、『感作(アレルギーを起こしやすい状態)』が進んでしまう。いわゆる生魚や寿司だけを避ければいいというわけではなくなり、アレルゲンが残存している可能性がある食べ物も避けなければならないこともある」

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 寿司職人や調理師、さらにはアクアリウムショップで働く人など魚を扱う機会が多い人が発症するケースが多いというアニサキスアレルギー。昭和大学病院がアナフィラキシーで受診した約500人の成人患者を調べたところ、その23.3%はアニサキスが原因であることが判明。山間部や沿岸部など、地域によって差が出る可能性はあるものの、魚をよく食べる日本人が注意すべきアレルギーだという。

 死骸やかけらでも起きる可能性があるアニサキスアレルギー。加熱、冷凍処理でも防ぐことができないので、対策はアニサキスを含む可能性がある魚介類や食品を摂取しないことだという。

 アニサキス症とアニサキスアレルギーの違いについて、『ABEMAヒルズ』に出演した精神科医の木村好珠氏は「全く別物と考えたほうがいい」として次のように説明する。

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「アニサキス症は、実際に食べた生魚にいたアニサキスが胃や腸に刺さることで起こる痛みや腹痛や吐き気だ。アニサキスアレルギーは、アニサキス自体が刺さって起こるものではないので、焼いたり酢締めをしたとしても、アレルギーになる可能性はある。アニサキスアレルギーの大きな問題は、加工食品でもアレルギー症状がでることだろう」

 アレルギー検査などをすることはできないのだろうか。

「皮膚科では100項目以上のアレルギー検査がある。血液検査やパッチテストなどで調べることができる。アニサキスは花粉症などの療法とは違い、“慣れる”ことがない人が多いようだ。IgE抗体の数値が高いからといって、必ずそのアレルギーであるわけではないが、症状が出たことがある人は食べないほうがいいだろう。最悪の場合死にいたる可能性を考えると、それが一番の対処法になる。体調が悪くなったり、かゆみなどのアレルギー症状が出たことがある人はアレルギー検査を受けてみてほしい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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